担当ホストに月200万円……OLから風俗嬢になった女が駆け上がった「ホス狂い」の階段
先ほど少し話に出した、1年で、月に200万円を使う「エース」へと駆け上がっていった友達・サヤカ(仮名)を例にして説明する。サヤカはどのようにして初回客から「エース」への階段を登っていったのか。彼女から聞いた話をもとに再現してみよう。
サヤカの2段目の階段は、1万円。彼女は新宿で友達と遊んでいた。22時。終電までは少し時間があった。そのとき、少し前に初回3,000円で行ったホストクラブのホストから「たまたま」連絡があった。
ホストへ通うつもりはなかったので、たいした会話などしていなかった。でも、そのときはお酒も入っていてなんだか気分が良かったのだ。
「私、そんなにお金持ってないよ」
「初めての指名だし、1万円で飲めるから。遊びに来なよ」
1万円だけなら、1回くらいいいかな。誰かと話したい気分だった。サヤカはあとで振り返って、そう語っていた。
サヤカの3段目は14万円。いや、それはもうすでに数段飛び越えて10段目だったのかもしれない。「担当」になったホストは、別に顔が好みだとか元カレに似ているだとかそういうわけではなかった。ただ、初めての指名から、仕事が終わるころになると、毎日必ず電話がかかってきた。もちろんお店に来てもらうための、いわゆる「営業」であることくらいわかっていたし、電話に出ないときもあった。そう、どうでもいいような電話だったのだ。他愛もない話。
「じゃあ、今日も仕事頑張ってくるね」
「うん、頑張ってね」
ホストの太客の中には100万円以上を毎月使う人もいるらしい。それなのに、1万と3,000円“しか”使っていない私に毎日連絡してくれる。どうでもいい着信は、そのときにはもう「してくれる」ものになっていた。「してくれる」から、お礼をしようと思った。
1万円を使ってから1カ月後。ちょうど、ホストクラブの何周年だとか、名目は忘れたけれどイベントがあった。他愛もない話に付き合ってくれる。そのお礼の気持ちで貯金を下ろした。
シャンパン含めて10万円。TAX入って14万円。シャンパンコール。店中のホストが集まってくる。担当ホストと私にマイクが向けられる。テレビドラマで見たことがあるような光景だった。
「初めてのシャンパン、ありがとう。これからもっと仲良くしていこうね」
「……………」
緊張なのか何も言えなかった。あのとき、ドラマのヒロインはなんて言ってたっけ……そこからは階段の頂上まではあっという間だった。