マルーン5がスーパーボウル記者会見を中止! 「逃げた」「出演者変更を」と言われる理由とは
いよいよ今週末に迫ったアメフトリーグ「ナショナル・フットボール・リーグ」(NFL)の年間王者決定戦・スーパーボウル。国民行事ともいうべきスーパーボウルは、試合はもちろん、前・後半の間に行われるハーフタイムショーも大きな目玉となっており、これまで名だたるアーティストたちが出演している。
開催まで1週間を切り、例年なら大盛り上がりしている時期なのだが、今年はいまいちだといわれている。
その理由だが、まず1つ目は、ハーフタイムショーのメインパフォーマーが「マルーン5」だということ。今年のスーパーボウル開催地は、アメリカ南東部のジョージア州アトランタ。19年ぶりに開催地に選ばれたことから、「ハーフタイムショーはアトランタ出身のアーティストが出演するはず」「アトランタは多くの人気ラッパーを輩出している」と期待が高まっていた。しかし、選ばれたのは、西海岸にあるカルフォルニア州ロサンゼルスで前身バンドが結成されたロックバンド・マルーン5で、ネット上では大ブーイングが巻き起こった。
その後、アトランタに縁のあるトラビス・スコットやビッグ・ボーイがサブで出演することが発表されたが、ヘッドライナーがマルーン5であることに不満を持つ者は今も少なくないのだ。
そして2つ目の理由は、NFLの人種差別問題への対応。2016年夏に、元「サンフランシスコ・フォーティーナイナーズ」のクォーターバック、コリン・キャパニックが「人種差別に抗議する意思表示のため、試合前の国歌斉唱時に起立を拒否してひざまずく」という行動に出た。これがNFL選手の間に急速に広まったのだが、コリンは事実上リーグを追放されている。昨年5月には、NFLが「国歌斉唱を拒否するのは違反行為で、所属チームに罰金を科す」と決定。NFLの一連の判断を批判し、コリンを支持する声は根強い。
セレブにもコリン支持者が多く、「実は最初、NFLからハーフタイムショーのオファーをされていたのは、歌手のリアーナとP!NKだったが、『自分の正義を貫きたいから、NFLとは仕事しない』と断られ、マルーン5に決まった」「100万ドル(約1億円)でサブ・パフォーマーをオファーされたカーディ・Bも、『コリンが戻ってくるまでは、スーパーボウルでパフォーマンスしない』と断った」と報道された。そのため「(バンドのリードボーカルの)アダム(・レヴィーン)も同調すべき」「今からでもいいから、マルーン5はハーフタイムへの出演をキャンセルして」といった意見が急増。署名サイト「Change.org」で「マルーン5にスーパーボウルのハーフタイムショーを放棄してもらおう!」という運動まで起こり、11万人を超える人が署名している。
そんな中、毎年ハーフタイムショーのヘッドライナーがスーパーボウル開催直前に行う恒例公式記者会見を、マルーン5がキャンセルした。
複数の米メディアは、現地時間1月29日にNFLが、「マルーン5はハーフタイムショーのため一生懸命に準備をしている最中」「最高のパフォーマンスを見せてくれるだろう」という声明と共に、記者会見の中止を発表したと報道。NFLは「アーティストたちには準備に専念してもらい、素晴らしいショーですべてを語ってもらうことにしましょう」と理解を求めた。
ネットでは、「マルーン5は逃げたんだ。コリンのことを聞かれるのが嫌だったから」とバンドを非難する人や、「アトランタ出身のアーティストを選べば、NFLじゃなくて地元のためにパフォーマンスするんだ! と世間も納得しただろうに」「ラッパーだったら、逆に人種差別に対する抗議をうまく表現してくれたんじゃないか」など、今からでも出演者を替えてほしいと訴える人まで出現し、今年のスーパーボウルが異常な雰囲気に包まれていることがわかる。
アダムは先日、米芸能誌「People」を通して、「スーパーボウルでパフォーマンスすることは長年の夢」で「50万ドルを、NFL、(所属レコード会社)インタースコープ・レコードと一緒に、子どもを助ける慈善団体に寄付した」と発表したばかり。善行をアピールをしたものの、「NFLと同じく、マルーン5も人種差別主義者だ」という目で見る者が多く、非常につらい立場に立たされている。
現地時間2月3日に開催される、スーパーボウル。ハーフタイムショーは波乱含みの展開になりそうだ。