『ぐるナイ!おもしろ荘』『THE W』『R-1』、「お笑い賞レース」にテレビ関係者の本音
ネクストブレーク芸人の切符を手に入れても、最近は使い道がないケースが多いという。1月1日の年明けに放送された『ぐるナイ おもしろ荘 若手にチャンスを頂戴! 今年も誰か売れてSP』(日本テレビ系)で優勝したのは、芸歴11年目のお笑いコンビ・ぺこぱ。だが、その後、彼らの名を聞かないのは気のせいだろうか。
「着物にローラーシューズを履き、ビジュアル系のメイク、大量のハードワックスを使った主張の強いヘアスタイルという、いかにもテレビ的な松陰寺太勇と、とりたてて何の特徴もない長身のシュウペイによるコンビ。シュウペイのボケを、松陰寺がツッコまず、すべて受け入れる全肯定型の新しい漫才で注目されました」(芸能ライター)
だが、優勝後、彼らの姿を見る機会は『ぐるナイ』ぐらいであり、概して「おもしろ荘」出身の芸人はここのところ不調のようだ。
「2018年1月1日放送で優勝したのはレインボー。ワケありふうの女性と、そんな彼女に『キレイだ』と連発して口説こうとする男のコントでチャンピオンに。また、昨年夏の特別版で栄冠に輝いたのは、アメリカの童謡『アブラハムの子』を替え歌に、『上段突き』や『地獄突き』といった空手の技を披露するクロコップですが、どちらもその後、テレビでは見かけません。つまり、ほとんど“全滅”といっていい状態です」(同)
ピン芸人No.1を決める『R-1ぐらんぷり』(フジテレビ系)からも、なかなかスターが出てこない。ハリウッドザコシショウ(16年)、アキラ100%(17年)と裸芸人が2年連続で続き、視覚障害の芸人・濱田祐太郎(18年)も、テレビバラエティの世界で風穴を開けることはできなかったといえる。
お笑い賞レースで最も新しいのが、17年に新設された日本テレビ主催・運営のお笑いコンテスト『女芸人No.1決定戦 THE W』だ。
「初代女王に輝いたゆりやんレトリィバァは確かにブレークしましたが、この優勝以前からキテいました。昨年、それに続く2代目クイーンとして阿佐ヶ谷姉妹が輝きましたが、もともと知名度はありましたし、けれどその反面、テレビであまり起用されていません。番組関係者は2人をどう使っていいのかわからないんです」(同)
名誉あるお笑い賞レースで優勝したからといって、活躍が保証されているわけではなさそうだ。
「『M-1グランプリ』(テレビ朝日系)、『キングオブコント』(TBS系)をはじめとして、各局でコンテストがはやっていますが、数が多ければ多いほど相対的な価値が下がるのは当然のこと。また昨年の『M-1』では致命的な事件が起こりました。霜降り明星が史上最年少王者の座に就く快挙も、とろサーモン・久保田かずのぶとスーパーマラドーナ・武智の審査員・上沼恵美子への暴言騒動で影が薄くなりました。『M-1』でも、またコンクール形式だった時の『THE MANZAI』(フジテレビ系)でも成績が振るわなかった千鳥が活躍しているように、必ずしも優勝だけがブレークの入り口ではないということです」(業界関係者)
それでも無名の芸人はこうした賞レースに出ない限り、テレビに引き上げてもらえない現状がある。だが、生活が一夜で変わるような「お笑いドリーム」は、少し諦めた方がよいのかもしれない。
(村上春虎)