「口内炎」、“やってはいけない”禁物な対処法を専門家に聞く! 重病が隠れていることも
では、実際に口内炎ができてしまった場合は、どのように対処するべきなのでしょうか?
「気温の変化によるストレスや睡眠不足が口内炎の原因になっているとすれば、それらを取り除くのが理想です。とはいえ、気候などの外的要因を避けることは難しいですから、なるべくリラックスする時間や十分な睡眠を取るのが先決です。また、食生活を見直して不足しているビタミンB2やビタミンCを多く摂るなども代表的な口内炎の対処法です」
また、適切に“うがい”をして口内を清潔にすることも、口内炎の治癒につながるそう。ただし、うがい薬でやみくもに口をすすぐのは禁物です。新谷先生は「うがい薬は口内炎対策にはあまり向かない」と話します。
「うがいをするときは、なるべく口内炎に刺激を与えないよう“ぬるま湯”を使いましょう。うがい薬は口内で働く常在菌も洗い流してしまったり、傷口の刺激になる可能性があるので、使う際には注意が必要です。うがい薬を使ったときは、仕上げとして水で口をゆすいでください」
喫煙や飲酒、辛いものなどの“刺激物”は炎症を悪化させるので、口内炎がひどい時期には避けるのがベターとのこと。
「口内炎を理由に医療機関を受診すると、患部に塗るステロイド剤などの薬を処方するのが一般的です。ただし、処方される薬は『口内炎が痛すぎて食事ができない人』の痛みを緩和する対処療法に過ぎません。処方薬は根本的な治療ではないと頭に入れて、生活習慣の改善や体力回復に努めましょう」
さらに、口内炎のなかには大きな疾患が隠れていることもある、と新谷先生は話します。
「アフタ性口内炎やカタル性口内炎は、通常10〜14日ほどで自然治癒しますが、長引く口内炎には注意が必要です。もしも、14日以上治らない、口の中から唇など広範囲に口内炎ができるなどの違和感があれば、ベーチェット病や、がんにつながる重い病を発症している可能性があります。早めに口腔外科や歯科、耳鼻咽喉科を受診してください」
たかが口内炎、されど口内炎……。季節の変わり目で疲れがたまっている人は、口の中に現れた“サイン”にしっかり応える必要がありそうです。
(真島加代/清談社
新谷悟(しんたに・さとる)
1961年、香川県生まれ。祖母を舌癌で亡くした経験から口腔外科医師を志し、岡山大学歯学部へ進学。その後、口腔外科治療や口腔がんの研究に携わり、2010年に昭和大学口腔がんセンターセンター長に就任し、2011年に東京銀座シンタニ歯科口腔外科クリニックを開設。