子宮筋腫、“切らない”手術とは? 子宮を残す「UAE」のメリット・デメリット
――UAEの治療のメリットについて教えてください。
瀧 社会復帰の早さです。入院は3泊4日、術後1週間でデスクワークができます。子宮全摘手術の場合1カ月ほどの入院になりますからね。手術時間も短く、1時間程度です。また、UAEは右の鼠径部(脚の付け根)からカテーテルを入れる手術になり、おなかに傷がつきません。鼠径部の跡も3週間もすれば消えますよ。注射をしたようなものですから。
ほか、子宮をなくす喪失感がないことや、二度、三度とUAEが繰り返しできるのもメリットと言えます。腹腔内操作がないため癒着が起きにくいという医学的なメリットもあります。
――UAEを受けられる患者さんの中で「子宮を残したい」という動機はやはり強いんですか
瀧 強いです。ですが、UAEといえども100%子宮が残る、というわけではありません。UAE後に感染を起こせば子宮の全摘出を行わざるを得ないケースもあります。僕は20年間で3,500件UAE手術を行いましたが、2例そういったケースがありました。
――手術を受けられる方は何歳くらいの人が多いのでしょうか。
瀧 平均すると43歳くらいですね。ただ、20代の方もいますし50代後半の方もいます。
――更年期が近い年代の方は、閉経になって子宮筋腫が小さくなるのを待てなかったのでしょうか?
瀧 はい。50歳で閉経するとは限りませんから。なお、アメリカのライス元国務長官も50歳で子宮筋腫のためUAE手術を受けたと公表していましたね。日本でも森三中の大島美幸さんがUAEを受けましたが、日本だと隠したがる人も多いですね。
――矢部みほさんもUAE手術を受けたとブログで公表していましたね。隠したがる人が多いのはどういった背景からなのでしょうか?
瀧 まず、子宮や卵巣、つまり女性生殖器の病気は隠したがります。またUAEという手術方法を知らず子宮そのものを摘出してしまった方にしてみれば、「あの人だけズルい」「知っていたら、私も全摘しなかったのに」という思いが生まれ、やっかまれてしまうからかもしれません。
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後編(1月12日公開)では引き続き瀧医師に、気になる費用や再発率についても話を伺う。
(石徹白未亜)