女性4人に1人が持つ子宮筋腫、婦人科医が手術前の「薬物治療には反対」と述べるワケ
――手術前に女性ホルモンを抑制する薬物治療を行い、子宮筋腫を小さくしてから手術を行う方針の病院もあるそうですね。
子安 大学病院などでは手術まで1年待ちというところも珍しくありませんから、手術までの間に薬物治療を行うケースもあるようですね。「筋腫が小さくなれば手術がやりやすくなる」という印象を持たれがちですけれども、僕はこの薬物治療には反対なんです。ただこれがもし「子宮そのものを摘出する」場合でしたら、僕も投薬治療を用います。ですが「子宮は残し、子宮筋腫だけを核出する」場合、よっぽど大きな筋腫や、月経を止めないと貧血が改善しない症例以外は手術前の投薬治療は用いません。
――なぜでしょうか?
子安 理由は単純で、大きな筋腫が小さくなるのはいいんですが、小さな筋腫はより小さくなり手術で取りにくくなるからです。ですので、そういった手術を行う病院は「大きい子宮筋腫だけ取れればいい」という方針なのでしょう。そうなると、手術が終わったあと外来に患者さんが行き、術後のレントゲンを見ると黒い粒がある。「先生これは何ですか?」「子宮筋腫ですよ」と。医師にしてみたら最初から取るつもりのなかった子宮筋腫だったんですね。
――手術までして、早速「残ってます」はつらいですね。
子安 もちろん、目で見えないレベルの小さな筋腫まですべてを取り除くことはできません。これは医学上の限界です。ですが、そういった「取れたはずなのに取り残した筋腫」が数年後大きくなってしまうケースはとても多いんですね。
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後編(1月9日公開)でも引き続き子安医師に、腹腔鏡手術の気になる費用や、また、医師直伝の名医の見つけ方まで、さまざまな話を伺う。
(石徹白未亜)
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