2011年から始まった、ジャニー喜多川氏の「Sexy」使用例に見る“業の深さ”
独特なセンスによるグループ名の付け方などで知られるジャニー喜多川氏。その突飛な発想にファンはいつも驚かされてばかりだが、中には言葉そのものは普通であっても、使い方が独特というケースもある。
一般的な用法と異なる「ジャニー語辞典」的な用い方。近年では、その最たるものが「Sexy(セクシー)」だろう。
ジャニー氏がやたらとご執心の「Sexy」という言葉。「Sexy Zone」から始まり、弟分として「Sexy Boys」や「Sexy 松(Show)」なんてのも2014年時点ではあった。Sexy Zoneにこの2組を加えて「Sexy Family」なのだという、果てしなく妄想のような展開に、ついていけたファンはほとんどいなかっただろう。
それが自然に忘れられていき、おそらくSexy Zoneもファンもホッとしていた頃に、藤井直樹、那須雄登、浮所飛貴、岩崎大昇、佐藤龍我、金指一世からなる6人組のジャニーズJr.ユニット「東京B少年」が「Sexy美少年」に改名された。
一連の流れを振り返ってみて、しみじみ思うのは、よりによって一般的な「Sexy」から遠いイメージの子ばかりに、ジャニーさんはセクシーを名乗らせてしまうこと。
例えば、Sexy Zoneは一緒に仕事をしたことのあるスタッフや取材経験のある編集者・記者などは、口を揃えて「本当に良い子ばかり」と言う。自分も以前取材したことがあるのだが、真面目で礼儀正しく、稀に見る良い子集団で、大げさでなく「天使」のようだった。
しいて言えば、「リア恋」枠とよく言われるように、美形タイプではないものの、親しみやすさやヤンチャさ、 クラスにいたらモテそう感のある菊池風磨はSexyといっていいかもしれないが、オリジナルのキラキラ世界観を持つ中島健人も、超のつく真面目で常識人で古風で落ち着きある佐藤勝利も、これまた真面目で頑張り屋で気遣い屋の松島聡も、知性的で優しくピュアなマリウス葉も、およそ世間の思う「Sexy」とは、ほど遠い。
ジャニー流の「Sexy」を一般の辞書で置き換えるなら、むしろ「ピュア」とか「メルヘン」とか「エンジェル」とかの方がしっくりくる気がする。同様に、「Sexy美少年」もまた、「ピュア美少年」とか「イノセント美少年」「エンジェル美少年」、いっそのこと「天才Genius」がアリだったわけだから、「ビューティフル美少年」でも良いんじゃないだろうか。
よりによって「性」のニオイを漂わせることなく、無垢で純粋で美しい少年たちばかりをつかまえて、「Sexy」と名付けてしまうジャニー喜多川氏。そこに真の業の深さがうかがえる気がする。
(南山ヒロミ)