「子どもの父親はキャバクラの客」出産を知らせず、未婚で育てるシングルマザー
――では、結婚して離婚した男性について、話を聞かせてください。その男性とは、いつ知り合って、いつ結婚されたんですか?
いえ……。そもそも結婚してません。
――えっ! 離婚歴のあるシングルマザーじゃないんですか……。お子さんの父親は?
店の外で会っていた、キャバクラのお客さん。たぶんサラリーマンなんだろうけど、はっきりとは知りません。家庭を持っていたかとか、子どもがいるかとか、そういったことは今となってはわからないです。関係を持った日以降、彼に連絡はしていません。
――大事な父親なのでは? 子どもに会わせてもらえず、悲しんでいるかもしれませんよ。
関わりたくないんです。あんな人に関わり続けるぐらいなら、養育費なんていりません。彼には出産したこと自体、伝えてません。自分に子どもが生まれたことや、その子が育っていることを彼は知りません。
――でも、子どもにとっては、血を分けた親なのでは?
今後、彼に実の父親として会いにきてほしいとか、そんなことは別に望みませんから。
――……なるほど。では話を変えましょう。妊娠がわかったのはいつですか?
21歳の頃です。病院に行った時には、もう妊娠9カ月だっていうじゃないですか。それまで、つわりらしいつわりはなかったし、おなかが膨らんでいることにも気がつきませんでした。びっくりしちゃって。実家の家族には、すぐに言いだせなかった。言ったら父親とか兄とかに反対されるって思ってましたから。だけど何日か後に、意を決して打ち明けたんです。そしたら意外なことに、全然反対されませんでした。キャバクラはすぐに辞めて、実家に戻って、出産に備えました。
――赤ちゃんが生まれた時の様子を教えてください。
おなかが痛いなと思って、お風呂に入ってみたんです。ところが全然痛みがひかない。そこで父親に「おなかが痛い」って伝えたら、「子どもが外に出たがってるんだ。今から病院行ってこい!」って強い調子で言われて、すぐにタクシーに乗って病院に行って診てもらいました。すると、もう子宮口が開いている状態。まもなく分娩室に運ばれちゃって、気がついたらシュッと生まれてきた。それでも病院に着いてから生まれるまでは、4〜5時間かかりましたね。私もともと結婚願望と出産願望、両方あったんですけど、順番が逆になっちゃいましたね(笑)。
――生まれた直後は、どのように過ごしていましたか?
1週間入院して、その後は、助産所みたいなところで1カ月ぐらい過ごしました。そこでは、助産師とかが授乳の仕方とか、育て方をいろいろ教えてくれたり、赤ちゃんの世話をしてくれたりしました。だから、生まれた直後でも15分おきに母乳を飲ませるとか、眠れなくてつらいとか、そういうことはありませんでした。まあ、そうなっていても大丈夫だったかも。もともと私、我慢強い体質ですから。
――そこを出てからは、どうされたんですか?
実家に戻りました。先ほど話した父親のほかに、兄が住んでいます。母はいません。
――不仲で離婚されたんですよね。
いえ、母は、私が高校を卒業した後、がんで亡くなってしまいました。