【連載】別れた夫にわが子を会わせる?

夫の浮気が原因で離婚、慰謝料200万円で料理学校へ。出産後に直面した男女平等のウソ

2018/08/22 15:00
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Photo by baron valium from Flickr

『わが子に会えない』(PHP研究所)で、離婚や別居により子どもと離れ、会えなくなってしまった男性の声を集めた西牟田靖が、その女性側の声――夫と別居して子どもと暮らす女性の声を聞くシリーズ。彼女たちは、なぜ別れを選んだのか? どんな暮らしを送り、どうやって子どもを育てているのか? 別れた夫に、子どもを会わせているのか? それとも会わせていないのか――?

第18回山下みゆきさん(仮名・38歳)の話(後編)

 大学のサークルの先輩と、卒業後すぐに結婚。対等な関係と思っていたが、夫が転職を重ね、収入が3倍になると、互いの経済格差が急激に広がった。湾岸のタワーマンションに引っ越して、会社を辞め、男の子を出産。セレブ妻になったかと思いきや、ワンオペ育児とタワマンの人間関係の中で孤立、疲弊していった。在宅の仕事から復帰しようとしたものの、夫の心ない言葉に傷つき、挫折。気持ちも離れていく。

(前編はこちら:夫の収入が3倍に! タワマンセレブ妻となったが、ワンオペ育児でママ友からも孤立)

■実家に戻っている間に夫が浮気


――元夫の勉強のために実家に戻っていたというところまで、話を聞きました。その後は、どうなったんですか?

 私と子どもが1カ月家を空けてあげている間に、浮気してたんですよ。相手は、彼が趣味で通っていた語学学校の同期のインテリ女性。

――どうやって気がついたんですか?

 そのインテリ女性と彼はずっと友達で、いろいろとSNS上でやりとりしていたんです。「私たちは映画の趣味が合うわ」「あなたのその服もいいわね」とか、ツイッター上でやりとりしてて。その服、私が選んだんですけどね(苦笑)。

――女性は妻のスタイリングを褒めてたんですね。


 ところがあるとき、やりとりが変容してきたんです。なんだか2人ともやけに高揚してるんです。「こんな奇跡があるなんて」って女性が書けば、「景色がキラキラして見えてどうのこうの」って彼は返してるんです。

 そうやって1年ぐらい観察していたら、あるとき彼のパソコンのパスワードが外れてしまったんですよ。それで彼のメールを見たら、証拠がバーッと出てきたわけ。「何時何分に会いましょう。どこそこで」とか。それを見て私は「証拠をつかんだ!」って。そのうちすごく楽しくなっちゃって(笑)。

――証拠をつかんでから、どうされたんですか?

 「これ見ました」って言って、その証拠を突きつけたんです。ドヤ顔で「どうすんのよ!」って言ってやりました。すると彼は「申し訳ない。好きになっちゃったんだよ」って言って泣き崩れたんです。ブチ切れて、「そいつと一緒になったらいいじゃん」って怒鳴ったら、「でも、あっちは結婚してんだよ」って怒鳴り返された。「知るか!」って私は言い返しました。

――修羅場ですね。

 そうなると、双方の親が絡んでくるわけですよ。うちの親は「そんなひどいことされたのか。もう帰ってこい」って。一方、彼の親は親で、「これはどう考えても、オタクの娘さんが悪いんじゃないですか? うちの息子は、そんなことしない。証拠を出せ」というわけです。そんなわけで、すっかり親戚中も巻き込んでの騒動になってしまいました。

――もう収拾がつかないのでは?

 そのころから私、急性アルコール中毒で救急車で病院に運ばれたり、眠れなくなったり、食べられなくなったりしました。2週間で6キロ痩せてしまったり、精神的におかしくなって、すごく派手な服しか着なくなったりしてしまいました。それで私、この状態から脱するには離婚した方がいいと思うようになって。彼に「離婚したい」と切り出しました。すると、「とりあえず半年間は一緒に住もう。夫婦というのは同居の義務がある」と言われました。でも、そこからは家庭内別居です。

わが子に会えない 離婚後に漂流する父親たち