「恥ずかしくないの?」中学受験で“子どもに言ってはいけない言葉”を浴びせた母の猛省
“親子の受験”といわれる中学受験。思春期に差し掛かった子どもと親が二人三脚で挑む受験は、さまざまなすったもんだもあり、一筋縄ではいかないらしい。中学受験から見えてくる親子関係を、『偏差値30からの中学受験シリーズ』(学研)などの著書で知られ、長年中学受験を取材し続けてきた鳥居りんこ氏がつづる。
中学受験は「親子の受験」。それは、ある“危険”を常に孕んでいることにもなる。親が絶対的権力者になり、思い通りにならないわが子に向かって、暴言を浴びせてしまうのだ。
人間は否定され続けると“やる気バロメーター”がゼロになっていく生き物なので、常に暴言を吐き続けている親からは“お受験スーパーヒーロー”は生まれにくい。しかし、哀しいことに、親も人間。修業が足らず、ついつい言わなくていいことどころか、“言ってはいけないこと”までを言い放ってしまいがちになる。
ただでさえ時間がないのに、説教タイムで時間を浪費し、それどころか我が子の“やる気”を完全に断ち切るような愚行を繰り返すのだ。合格を後押ししたいのか、邪魔したいのか、親自身、訳がわからなくなるのである。この矛盾を一番感じているのが、怒ってしまう当の親本人だということが、いっそう切ない。
筆者が子どもの中学受験を体験した母に行ったアンケート調査によると、親が言い放つ3大暴言の傾向はこれだった。
「金」「頭」「強制終了」
「金」は「いくら金かけてると思ってる?」に代表される、“コスパの悪さ”に対する苛立ちを我が子にぶつける言葉。「頭」は「アンタみたいなバカ、見たことない!」に代表される、思うように偏差値が上がらない苛立ちを我が子にぶつける言葉。
そして、とどめが「強制終了」。その代表は「受験なんかやめちまえ!」である。中学受験は資本ありきなので、たいていは親主導でスタートする。にもかかわらず、親の独断で「もう受験はやめ!」という“リタイヤ宣言”をしがちになるのだ。しかも、始末が悪いことに、本気で受験をやめさせたいわけではなく、我が子自身が「やる気のなさ」を猛省し、親が思う「正しい受験道」に邁進してくれとの願いを込めての暴言。まったく、多くの親には忍耐と寛容いう修業が足らないのなのかもしれない。