インフルエンザは「体力があれば軽症」って本当? 「ワクチン」「迅速検査」のウワサを医師に聞く
まず星野先生は大前提として、インフルエンザの流行時期、周囲に多くのインフルエンザ患者がいて、インフルエンザウイルスが口や気道内に侵入してしまう状態にあったとしても、「全員がインフルエンザを発症するわけではありません」と述べる。
そんな中、インフルエンザを発症し、重篤化する人については「小児や高齢者、気管喘息などの持病がある方が挙げられます」というが、ウイルスの種類によって症状に違いが出るということもあるそうだ。
「季節性インフルエンザのウイルスには、A(H1N1)亜型(平成21年に流行した新型インフルエンザと同じ亜型)、A(H3N2)亜型(いわゆる香港型と同じ亜型)、そしてB型の2種(山形系統とビクトリア系統)と、4つの種類があり、それらの種類によって、発熱の程度や咳などの上気道症状に違いがあるとも言われています」
どのウイルスに罹るかはその時次第だろうが、個人の体力や免疫力の差によって、症状が出やすい/出にくいという傾向は見られるのだろうか。
「確かにインフルエンザに限らず、ウイルス感染に伴う発熱の程度には個人差もありますが、スポーツ選手が罹患してしまうことからも、一般的に言われている『体力の差』は、医学的には特に関係性はないと考えられます。また、『免疫力の差』と言われるものも、特殊な免疫抑制状態にある方々などを除けば、気力や疲労の状態などで一概に差があるとは言えないと考えられます」
インフルエンザも、「いわゆる『風邪』症状を引き起こすウイルス感染の一種」だけに、「発症を最小限に抑える最も有効な手段は『手洗い』と『うがい』と言われている」と星野先生。
「また、インフルエンザワクチンの予防接種は、インフルエンザウイルスが体内に入ったとしても、発症の可能性を低減させる効果と、発症した場合の重症化防止に有用という報告がなされています。つまり100%予防できるわけではありませんが、相対的に60~70%程度発症を抑えられる可能性があるとされており、厚労省からも接種が推奨されているのです」