カルチャー
関わると危険? 女子がハマりやすいコミュニティ&ビジネスの闇
過剰な「女は生きづらい」発言はなぜモヤモヤする? 社会学者が一刀両断
2018/10/28 17:00
ここで理解してほしいのは、女性を守るために男性を排除することがフェミニズムの本質ではない、ということだと新先生。
「女性だけの街=安心できる隔離されたコミュニティを求めることは、どちらかというと自衛のためですね。これをフェミニズムと理解するのは間違いです。また、『女性の権利を守るため、女性を男性より上位に置く』というのも、フェミニズムとは異なる考え方です。女性が男性を排除したり、女性が男性よりも優位であると主張するのがフェミニズムだという理解は、端的に誤解です」
たとえば、女性に選挙権がなかった時代は、女性の社会的な権利を獲得するためのフェミニズム運動が盛んに行われていました。ただし、それは20世紀前半の話。
「現代社会におけるフェミニズムは、性差で差別されない社会を志向しています。たとえば、子育てや家事、仕事など、男女の日常的な関係性をどうやって分担していくか、性別に関係なく、それぞれのワークライフバランスをどうしていくか。こうした日常レベルで現れる性差の問題について地道に考えることが、フェミニズムの思想といってもいいでしょう」
世間一般に関心の高いテーマだけに、注目を集めやすく承認欲求も満たされやすいであろう、性差に関する投稿。せっかく自分の意見を発信するなら、感情だけではなく問題が議論に発展するような文脈を意識したいものですね。
(島野美穂/清談社)
新雅史(あらた・まさふみ)
社会学者。明治大学在学中から上野千鶴子に師事。専門は産業社会学、スポーツ社会学。著書に『商店街はなぜ滅びるのか』(光文社)、『「東洋の魔女」論』(イースト・プレス)など。
最終更新:2018/10/28 17:00