インタビュー

日本のハロウィンから“パリピ”が消える? 「しんどくなった」若者が生まれるワケを専門家が考察

2018/10/30 18:30

ハロウィンの長期化で、みんなしんどくなった

 では、仮装して騒ぐ“パリピ的”若者が、街から消えていく兆しを、関口氏はどのように見ているのだろうか。

「最近、そういった光景の新規性もなくなり、メディアで取り上げられる機会も若干減っているように感じますし、視聴者側も『あぁ、またか』と思うようなったのかもしれません。そして巷の雰囲気も『最近ハロウィンっていまいちじゃない?』といった感じなのかな、と。私も、いろんな人にハロウィについて聞くようにしているんですが、『盛り上がるようで、最近はちょっとねぇ』『もういいんじゃないか』といった声が出ているんです」

 その背景には、日本におけるハロウィンの“長期化”があるという。

「100円均一ショップなどでは、8月末から徐々にハロウィングッズが店頭に並びだすこともあります。そして、9月に入るとテーマパークでハロウィンイベントがスタートし、そのプロモーションは8月から始まっているんです。このようなハロウィンの長期化により、人々が本番までテンションを維持できないというのはあると思います」

 一方、アメリカのハロウィンは、「ある意味潔い。短期間に集中して盛り上がり、終わるとすぐに次の歳時記に意識を切り替える」と関口氏。


「それに、仮装して街で騒ぐというのは、ハードルが高い。お金もかかるし、この時期はもう寒いですし、みんなしんどくなってしまったのかもしれません。また、ハロウィンで渋谷などに行く際は、本気で仮装をして“見られる側に徹する”、もしくは観光客のように“見る側に徹する”ことをしないと、楽しめないと思うんです。プチ仮装程度で、その“場”をちょっと体験しにきたという人たちは、『あぁ、渋谷のハロウィンってこんなもんか』と、すぐに満足し、あまりの人ごみに『大変だし、しんどいし、次からはもういいや』と思うのでは」

 その反動から、今年は“イエナカ”がハロウィンのトレンドとなっているように思えるが、関口氏は「インスタ映え」というワードを用いて、その理由に考察を広げる。

「今はネット環境が整っているため、リアルで苦労しなくても、お金をかけなくても、ネット経由でいろんな情報を得られ、かつ発信もできるので、ハロウィンもイエナカで十分楽しめると思います。若い世代は、インスタ映えするハロウィンの写真をSNSにアップすることも多いですが、であれば、わざわざ街中に繰り出すより、家の中でちゃんとセッティングして撮影した方が、ずっと美しい写真になります。盛り上がる渋谷で写真を撮るのは、インスタ映えとは違うのではないでしょうか。そもそも、渋谷の写真を撮ってSNSにアップする人なんて大勢いるでしょうし、そこにオリジナリティは出せません。家の中で自分なりの凝った演出をして、それを写真に撮り、SNSにアップする。それで世界とつながれるんですよ」

 確かに、街にでなければ経験できない“雰囲気”というのもあるだろう。しかし近年、あまりの人手に、渋谷のスクランブル交差点に数百人規模の警備体制が敷かれるようになったほか、今年は渋谷区が初めて「終電までに帰宅を」と呼びかけを行うなど、今後さまざまな“規制”が行われる気配も漂ってくる。

「ハロウィンって、そもそも1日限り、世間の常識や規範から外れることに意味があるのに、規制の中で粛々とやるというのもまた、違った方向にいっているような気がしますね」


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