【連載】探偵はみた!

探偵も呆然! バレンタインデーに発覚した”六股”男の生態

2012/02/14 16:00
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Photo by danielmoyle from Flickr

 嫉妬、恨み、欲望、恐怖。探偵事務所を訪れる人間の多くがその感情に突き動かされているという。多くの女性の依頼を受けてきたべテラン探偵の鈴野氏が、現代の「女の暗部」を語る。

 探偵稼業が一番つらいのは冬だ。暑さならともかく、底冷えする冬の尾行ほどつらいものはない。たいていは車で待機しているが、車のエンジンをかけっぱなしにしておくと、かえって目立ってしまう。よくドラマでは、二人組みの探偵が運転席と助手席に並んで座っているが、あれはあり得ない。片方もしくは二人ともが後部座席で待機しているほうが目につかない。後部座席は思っているほど外からは見えないものだ。

 この時期の依頼といえば、やはりバレンタインの浮気調査だ。探偵にとって、クリスマスとバレンタインは二大繁忙期なのだ。

 バレンタイン直前のある日、26歳のOL・美咲が事務所に飛び込んできた。一緒に住んでいる彼氏をバレンタインに調べて欲しいという依頼だ。調査を依頼してくる独身女性に限って、自分はこの男と結婚するんだと思い込んでいることが多い。だから、浮気調査を依頼する。あくまで自分が本命であると信じているからこそ、浮気を疑うのだ。

 どんな浮気の兆候があったのか美咲に聞くと、最近携帯を風呂場まで持っていくようになったり、タバコを買ってくると言って夜中にちょくちょく抜け出すことが増えたのだそうだ。こんな分かりやすい兆候を見せれば、どんな女でも気付くだろう。たいていの男は細かいところにまで気を回さないため、あっさり浮気がバレる。車を持っている男なら、走行距離がいつもより長くなったり、駐車場の領収証をダッシュボードあたりに投げ込んでいたりして、簡単に足がついてしまう。

 バレンタイン直前の依頼だったため、相棒も旧知の臨時調査員もあいにく出払っていた。今回の依頼は自分ひとりでやることにする。対象者の男を尾行するために、レストランの入っているビル外で待機する。尾行は普通の服装で行うのがセオリーだ。丸の内であればスーツ姿で、渋谷であればカジュアルなジーンズ姿で、あくまでも目立たないようにするのでなく、その街の風景に溶け込むのがいいのだ。


 ビル外で張り込んでいると、見覚えのある顔がいた。なんと、いつもの旧知の臨時調査員ではないか。「なぜ、あいつがここに?」と思っていると、対象者が女と出てきた! 見失わないように後をつける。すると、不思議なことに臨時調査員も同じように後をつけてはじめた。午後6時に始まった調査は、臨時調査員と話を交わすことなく朝まで続いた。

 結局、その男は二股どころか六股していたのだ。なんと奇遇なことに、旧知の臨時調査員は、美咲ではないほかの女に浮気調査に雇われたのだった。まったく一晩で6人に会うなんてマメすぎて探偵でさえも呆れてしまう。

 浮気する男は、ずっと浮気する。浮気しない男はずっとしないといわれるが、探偵からすると浮気ほど治らない病気はない、と思うのだった。
(カシハラ@姐御)

取材協力:オフィスコロッサス


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基本、自分は浮気相手なんだと覚悟しとけ!

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最終更新:2019/05/17 21:00