コラム
【連載】庶民派ブランドの落とし穴

ジーンズメイトが抱える“3つの地雷”! ライザップ傘下入りも「新ブランド全然売れない」?

2018/10/28 16:00

 メディアには「ジーンズメイトが増収に転じた」とか「15年ぶりの増収」とか「既存店売上高が連続6カ月増収」などのような景気の良い報道が溢れるようになりましたが、果たしてそうでしょうか。決算面と商品・店舗面の両面から、ジーンズメイトの3つの落とし穴を考えてみましょう。

1.メディアが報じる「好調」はウソだった?

 増えていない売上高、全店売上高は前年割れ。一言でまとめると、これが今のジーンズメイトの実情です。先にも書いたように、売上高はピーク時から半分以下にまで低下しており、ライザップグループの傘下になってからも、実はそれほど大きく増収に転じたわけではありません。18年3月期の売上高は97億2700万円で、17年2月期の売上高91億9500万円と比べると、5億円以上の増収となっており、これをもってメディアは「ジーンズメイトが増収に転じた」と報じました。しかし、17年度まで2月期決算だったのが、18年度からは3月期決算に変更されたために、18年度は“13カ月分”の売上高になっているわけです。つまり、前年と比較し、1カ月分売上高が多く計上されているのですから、少々増収するのは当たり前のこと。これを1カ月平均売上高に計算し直してみると、前年度をわずかに下回っています。売れ行きは決して上向いてはおらず、良くて前年維持、厳しく言えば前年よりもわずかに低調。とてもではないですが、手放しで喜ぶことはできません。

 また月々の“既存店”売上高は前年比増が続いており、これまた「好調」と報じられていますが、“全店”売上高は、前年を下回っていることが少なくありません。例えば、直近の今年9月度の既存店売上高は5.9%増でしたが、既存店に新店などを足した全店売上高は、なんと前年比6.7%減に終わっています。金額が発表されていないのでどういう状況なのかわかりにくいものの、既存店がいくら増収したところで全店売上高が増収しないことには、好調とは言えません。「増収に転じた」という文言が、いかに実態と乖離しているかがわかります。

2.学生向けの店舗に、アラフォー向けアイテム展開の矛盾

 商品面・店舗面でのジーンズメイトの弱点はいくつもあるのですが、真っ先に言えることは、商品のターゲット設定と店作りがまったくマッチしていないということ。これはいまだに修正される気配がありません。

 ジーンズメイトはもともと、中高生・大学生などの若者の支持を集めて成長してきました。今でこそ「購入するとポイントが貯まり、次回以降割引に使える」というシステムは当たり前ですが、昔はそんな売り方をする服屋は存在せず、そんな中ジーンズメイトは、全てのナショナルブランドジーンズに「1,000円割引券」を付けて販売していたのです。その商品を買えば1,000円割引券が手に入り、次回はこれを使って1,000円安く買うことができる……これは、今のポイント制の走りのような売り方といえるでしょう。これが評判となり、男子学生から支持を集めて上場企業へと成長しました。そのため、ジーンズメイトの各店舗は、店舗の外観・内装はもちろんのこと、商品の見せ方、陳列も学生向けで、実際に店舗を覗くと、中学生~大学生のお客さんがいまだに多く来店しています。

 しかし、実際の商品はいうと、必ずしも学生向けではありません。自社企画ブランド「ブルースタンダード」は、これまで「37.5歳の新定番」をテーマに掲げてきましたが、学生向けの店に並べたところで売れるはずがないのです。ブルースタンダードのアイテムは、毎シーズン末期には破格値に値引きされて投げ売られており、これは当然の結果でしょう。

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