浅田舞が語る、“献身的な母”の別の顔――「親不孝だったのでは」と言う彼女に思うこと
羨望、嫉妬、嫌悪、共感、慈愛――私たちの心のどこかを刺激する人気芸能人たち。ライター・仁科友里が、そんな有名人の発言にくすぐられる“女心の深層”を暴きます
<今回の有名人>
「母は寂しかったりしたんですか?」浅田舞
『木村藤子のキセキ相談SP』(フジテレビ系、10月16日)
『人生が変わる1分間の深イイ話』(日本テレビ系)に、平昌パラリンピックの男子スノーボードバンクドスラローム金メダリスト・成田緑夢選手が出演した回を見たことがある。
もともと成田選手は、世界選手権にも出場するほどのフリースタイルスキーの名手だったが、練習中にケガをして左足に障害が残ってしまう。そこから障害者スポーツに取り組むようになり、メダリストになるという“いい話”を披露したのだが、まったく“いい話”だと思えなかったのが、親にまつわるエピソードである。
成田選手の父親は、成田選手やその兄弟に、小さい頃から水上スキーで琵琶湖を横断させたり(食事も水中で食べる)、子どもだけでキャンプさせるなど、はっきり言って「これ虐待なんじゃないの?」というレベルの“教育”をしている。しかし、何かとクレームがうるさい昨今だが、炎上することはなかった。なぜなら、成田選手が世界選手権の日本代表に選ばれるという“結果”を出しているからである。傍から虐待まがいに見えても、結果が出ていれば「子どもを伸ばす教育法」「常識をぶち破る画期的な教育」と褒めそやされるのが世の中というものだ。
世界選手権よりももっと大きいお祭り、オリンピック。その選手の母親は“献身的”の代名詞でもある。世界選手権で何度も金メダルを獲得し、バンクーバー五輪では銀メダルという輝かしい“結果”を残した浅田真央。「女性セブン」(小学館)によると、真央の現役時代、母が娘の練習を1日20時間見守ることもあったそうだ。また、母は真央の筋肉のこわばりをほぐすため、毎晩独学で勉強したマッサージをしてあげていたという。
忍耐深く献身的――「女性セブン」や朝日新聞は、オリンピック後にいかに真央の母が、日頃からその活躍に貢献してきたかの“秘話”を報じたが、別の一面を明かしたのが、真央の姉であるタレント・浅田舞だった。10月16日放送の『木村藤子のキセキ相談SP』(フジテレビ系)で、母親とのすれ違いを告白したのである。母のことを、自分が敷いたレールから娘が外れようとすると、容赦なく切り捨てる人だと、舞は感じていたそうだ。フィギュアスケートの世界で先に頭角を表したのは舞だったが、思春期を迎え、学校行事も参加できないほどスケート漬けの毎日に疑問を感じるようになり、練習をさぼるなどして母親との衝突が絶えなくなっていく。女性アスリートは思春期の体重管理が難しいと言われ、そのせいか舞は拒食症を発症。一方の真央は世界ジュニア選手権で優勝するなど、将来のメダリスト候補として注目されるようになっていく。家に居場所のない舞は、夜遊びを始めるが、母親は舞の精神面を慮ることはせず、「真央には迷惑かけないで」などと、真央もしくは世間体を気にしているかのような言葉を投げかけたという。