ネットワークビジネスで友達をなくすワケ――ハマる女性の心理をコンサルタントが解説
「ネットワークビジネスを嫌いになる理由にはいろいろあると思いますが、結局、『勧誘してきた人がヘタ』なことが一番の原因なんだと思います」
ネットワークビジネスは、自分でアポを取り、商品を直接売る必要があるため、そもそもの人間関係がないと、売買の場を成り立たせること自体が困難。身近な家族や友人への勧誘が終わると、その後は“数撃てば当たる作戦”へと移行し、疎遠になっていた昔の同級生などに片っ端からアポを取り、誰かしらに買ってもらえるまで頑張るという方法になりがちです。そのため、必然的に煙たがられてしまうのだといいます。
「ネットワークビジネスをやっている人たちは、周囲から批判されがちなことも重々承知です。しかし、批判されるほどに彼らの結束力は強まります。わかり合えるのはコミュニティ内の人間だけだと思い込み、だんだんと周囲との関わりがなくなっていく。それも周りの人から見れば不気味に映るのかもしれないですね」
さらに、ネットワークビジネスは、自己啓発との親和性が高いという特徴もあります。
「『自分の人生を自分で切り開く』『仲間と一緒に、自由と豊かさを手に入れる』など、ネットワークビジネスで成功する考え方は、自己啓発の考え方にそのまま当てはまります。夢や目標、やりがいなどの言葉を使ってやる気を高める方法は、何も知らない人から見たら、より怪しいコミュニティに見えてしまうかもしれません」
しかし、一般の人がネットワークビジネスに対してネガティブなイメージを持つのは、入ってくる情報が少ないためでもあると能登さんは言います。
「ネットワークビジネス自体は、営業手段のひとつにすぎません。経営者や自営業者にとっては身近な存在ですが、一方で『難易度の高いビジネス』でもあります。なにせ、集客も営業も基本的にはすべて1人で行うため、割に合わないことが多く、利益もリスクも抱え込む結果になってしまうからです」
アムウェイやニュースキン、ミキプルーンなど知名度の高い企業の陰では、数えきれないくらいのネットワークビジネスが立ち上がっては、消えていくという現実があるのです。
「売り上げが伸びないことを理由に撤退した会社もあれば、悪質な勧誘によって営業停止になった会社もあります。一方で、新たなネットワークビジネスも次々に生まれており、競合は日々増えています。ネットワークビジネスは、競合が増えれば増えるほど成功率が下がるという原則があるため、今からスタートして成功するには、かなりの努力がないと難しいと思います」
そんな逆風の中でも、ネットワークビジネスで上手に稼いでいる人もいると、能登さん。
「私の知人女性は、もともと友人が多く、誰とでもフレンドリーに接することができるので、ネットワークビジネスを始めた際にはかなりの売り上げを出していました。日常的に人と会う中で、相手が必要だと思うものを素直に勧めていただけなので、彼女から商品を買って不快な思いをした人もいないと思います」
また、能登さんの主観としては、男性よりも女性のほうがネットワークビジネスにハマる傾向が高いのだとか。
「コミュニティ構築が得意な女性にうってつけのビジネスモデルであると同時に、動けば動くだけ成功に近づくという、シンプルな構造に没頭してしまう女性は多いと思います」
受け手が嫌だと思えば、嫌な商売になり、役に立ったと思えば良い商売になるという、二面性を持つネットワークビジネス。もし、身近にハマっている人がいても、あからさまに拒否反応を示すと、かえって相手を刺激することも。絶妙な距離感を保ちつつ、生温かく見守ってあげるのが一番かもしれません。
(島野美穂/清談社)
能登丈暁(のと・たけあき)
対面セールスや少人数でのセミナーセールスの成約率アップを得意とする、セールスコンサルタント。年商3億円のカウンセリング会社でのセールスの実績をもとに独立。「キャンセルが多い」「購入した商品と実体のギャップによるクレーム」といったセールスの問題点を克服し、高成約率を実現。「継続収入型のビジネス」でクライアントが売り上げを上げる支援をしている。