“中学受験”に見る親と子の姿

ジャガー横田さん息子も“特攻受験”――30以上の偏差値アップを狙った、中学受験親子の天国と地獄

2018/10/14 16:00

母自らが塾に解法を習いに行くという受験体制

 1人目は、恭平君のケースだ。恭平君は5年生の時にA学園の文化祭に行き、その展示に魅せられてしまう。A学園は偏差値もトップクラスに高い大人気校で、恭平君は6年初夏の時点でも、A学園には30ポイントくらい偏差値が足りないという、絶望的な状態だったそうだ。

 しかし、恭平君は「A学園に入りたい」という夢を諦めなかった。母の典子さんは覚悟を決め、塾の大反対を押し切り、受験させることに決めたという。そのために、典子さん自らA学園の過去問を徹底的に分析し、自宅ではA学園仕様のオリジナル問題を解かせ、そして、子どもではなく母が、塾にA学園の過去問の解き方を習いに行くという、なりふり構わぬ受験体制を取ったそうだ。

 さらに、ほかの塾が行っている「A学園対策」にも恭平君を参加させ、できることは全てやったとのこと。当然、A学園にのみ特化した対策のため、もしA学園がダメだったら、ほかも押し並べて不合格になる確率は高いと思っていたそうだが、典子さんは、「息子が『ここに行きたい!』と言うのであれば、その夢のために、親子一丸となって全力で頑張るということが、一生に一回くらいあっても良いのではと思った」と言っていた。

 そして母子の念願かなって、恭平君は見事に難関A学園の合格切符を勝ち取った。恭平君はさすがに入学当初、周りのあまりのレベルの高さに面食らったそうだが、彼自身が常にこう考えて、日々の授業に向き合ったそうだ。

「自分は最下位で入学させてもらった。つまり、A学園の学力レベルに到達していないので、努力をし続けない限りは、いつでも成績不振で放校処分になる」


 危機感を常に抱いていると、プレッシャーに押し潰されてしまうのではないかと心配になるが、恭平君は筆者に「僕はA学園から『さよなら』って言われる人生にはなりたくなかっただけなんです。だって、A学園の部活に参加できなくなるのだけは避けたかったから(笑)」と、胸の内を教えてくれた。

 恭平君は結果、成績不振による放校処分にもならず、むしろ6年間学力上位者として過ごし、現在、超難関大学に通っている。

首都圏版 中学受験案内 2019年度用