山里亮太、自虐と嫉妬心に隠された「自己評価の高さ」を母親とのエピソードから考える
「山里、自己評価高い説」を私の中で決定的にしたのは、今年のお正月の『ボクらの時代』に出演した、山里と両親を見たときである。この日の会場は、山里が両親にキャッシュで買ってあげたというマンション(4LDK)。山里自身は贅沢をしないのに、親にはマンションのほかに369万円もするクルージングの旅をプレゼントするなど、親孝行をしている。売れた芸能人が親に物を買ってあげるというのは珍しくないが、それよりも突出していたのは、山里の母が、山里の全てを愛していることである。
成績が良かった、運動が得意だったなどの“成果”を、親が褒めることは多い。しかし、山里の母は「亮太はごめんなさいを言うスピードがいい」と、他人から見たら褒める対象になり得ないことも、いちいち評価する。山里の母は、学校の先生にもひるまない。小学生の頃、山里は授業を妨害する問題児だったそうだが、担任がそれを母親に知らせると「見ていないのに、叱ることはできない」と突っぱねたそうだ。また、山里の父は、息子が芸人になることについて、「お前は面白くないから」という理由で反対したものの、山里の母は大賛成。お笑い芸人の常として、山里はルックスの気持ち悪さをウリにしているが、母親は納得せず、上戸彩が結婚した際には「あんたがぼさっとしてるから」「HIROに盗られた」と言い、「この子と結婚したら、どうなの」とテレビを指した先には石原さとみがいて、山里が仰天したというエピソードも披露された。しかし、当の母親は「なんで驚くかね」とこぼし、息子と石原が釣り合っていると信じて疑わないのだ。
子どもの自己肯定感を育むのは母親であることは心理学で証明されているが、ささいなことでも褒める母親に育てられたら、強い自己肯定感を持って成長することができるだろう。故に、自分をけなされると「そんなはずはない」と腹が立つのではないだろうか。
ちなみに若林も、2015年放送の『オードリーのオールナイトニッポン』(ニッポン放送)で、母親の話をしていたことがある。言うまでもなく、若林は多くのレギュラー番組を持つ売れっ子だが、母親に「オードリーは今の芸風のままでははやらない」とダメ出しされたそうだ。若林は「そんなことを言う前に『駆け込みドクター』(TBS系)が続いていることを褒めろや!」とキレてしまったそうだが、世の中には、できていることは当然のこととして無視する代わりに、できていなさそうな部分を執拗に責める母親というのも存在する。
若林が子どもの頃、自転車に乗る練習をし、その成果を見せると、母親は「まだフラフラしているじゃない」と褒めなかったといい、恐らくそういうタイプなのだろう。完璧でないと褒めてもらえないという状態では、人は自信を持ちにくい。若林は『アメトーーク!』(テレビ朝日系)の「マイナス思考芸人」回で、犬を連れて仕事にやってくる芸能人について「よっぽど自信があるんだな」と発言したことがあったが、若林の神経に触るのが「実績のある人」ではなく、「自分に自信がありそうな人」なのは、母親との関係と無関係とは言い切れないのではないか。山里と若林は、芸風こそ似ているが、ある意味“真逆”のように思う。
話を山里に戻そう。『ボクらの時代』で、若林に「山ちゃん、酔っ払って『ここまで来たら、女子アナか女優と結婚しないとやってられねーよ』って言っていたもんね」と暴露された山里。無理だというニュアンスを含んだ笑いが起き、山里は「モテない人間の特徴で、素敵で知的な美人に弱い」と言い訳したが、恐らく女子アナ狙いは本心だろう。お母さんも「亮太と釣り合う」と応援してくれるはずだ。母親が子どものメンタルに与える影響というのは大きいと、あらためて思い知らされた。
仁科友里(にしな・ゆり)
1974年生まれ、フリーライター。2006年、自身のOL体験を元にしたエッセイ『もさ子の女たるもの』(宙出版)でデビュー。現在は、芸能人にまつわるコラムを週刊誌などで執筆中。気になるタレントは小島慶子。著書に『間違いだらけの婚活にサヨナラ!』(主婦と生活社)『確実にモテる 世界一シンプルなホメる技術』(アスペクト)。
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