日本では知名度すら低いけど……アメリカで面白いと大ヒットしているドラマ5選
一度ハマると寝る時間も惜しんで見てしまう海外ドラマ。『24 -TWENTY FOUR-』や『ウォーキング・デッド』は海外ドラマに親しみのない層にまで人気が飛び火し、爆発的なヒットとなった。一方で、本国では大ヒットしたのに日本では不発となっている作品は少なくない。
「アメリカ人の4人に1人が見た」「最終話の視聴者数は7,630万人」という1990年代の大ヒットコメディ『となりのサインフェルド』は、登場人物たちの外見がイマイチな上に時事ネタが多かったからか、日本ではまったくヒットせず。80年代に絶大なる人気を博した伝説的コメディ『チアーズ』は、アメリカでは最終話視聴者数が8,050万人と驚異的な数字をマークしたが、こちらも日本ではヒットしなかった。日本では『フルハウス』のような“かわいいブロンドヘアの子どもたち”が繰り広げるハートフルコメディや、『ビバリーヒルズ高校/青春白書』のような美男美女の青春物語、『ER 緊急救命室』のようなリアリティのある医療ドラマ、『24』や『クリミナル・マインド』のようなサスペンス/犯罪ドラマがヒットする傾向にあるよう。
今回は、これまで数多い海外ドラマの中から「日本ではブームにならなかったけど、アメリカでは過去10年間で人気の高かった作品」を5作紹介しよう。
■『ブレイキング・バッド』(2008年1月~13年9月)
一流大学卒で科学者としても有能なのに、運がなく、うだつの上がらない人生を送ってきた高校教師ウォルター・ホワイト。田舎町に住む彼は、脳性麻痺の長男と妊娠中の妻を養うため、やる気のない生徒たちに科学を教え、生活費のために本業と掛け持ちでアルバイトをする“プア・ホワイト”だった。
物語は、ウォルターが50歳の誕生日の翌日に倒れ、搬送された病院で「あなたは手術できない肺がんで、余命2年」と告知されるところから始まる。誕生日パーティーで麻薬取締局に勤めている義弟から「覚せい剤の売買で大金を手に入れることができる」と聞いていたウォルターは、自分の死後、家族が生活に困らないよう財産を作るため、犯罪に手を染めることを決意。下っ端の薬物売人だった教え子を脅してタッグを組み、科学者としての知識を駆使して、高純度の覚せい剤(ブルーメス)を開発。大金を手に入れるようになるのだが、闇稼業のためさまざまなトラブルに巻き込まれるようになり、彼自身も悪人へと変貌。命を懸けてまで守りたかったはずの家族との絆も危うくなっていく。
この作品の最大の見どころは、ウォルターの精神状態と感情の変化。死を目前に、家族のために道を踏み外した男が、暴走し破滅するというジェットコースターのようなストーリー展開に、多くの人がくぎ付けに。「貧しい中年の高校教師が、麻薬社会のドンになる」というコンセプトも痛快で、男のロマンを感じる人も。ウォルター役のブライアン・クランストンの繊細、なおかつ迫真の演技もお見事で、「第一話と最終話ではまるで別人だ」と多くの人を驚かせた。主要レースを総ナメしたというのも納得の名作だ。