有働由美子アナの自虐発言に垣間見える、「セクハラするおじさん」と同じ思考回路
同番組の出演者が、それぞれの分野での第一人者ということもあり、「いつまで仕事がしたいか」という話題も出ていた。「人生百年時代、需要がある限り、仕事がしたい」と言う石田に、有働アナは「貯金すべき」と助言する。
「今の石田ゆり子だったら、『僕が全部サポートしますよ』って言う人がいるかもしれないけど、80の時に『困っちゃた~』って言って助けてくれる、財力のある人がいるかどうか問題ってあるじゃない」
プライベートでも仲の良い2人だから、気心は知れているだろう。だからこそ、あえてまぜっ返すような発言をすることで、番組を盛り上げたかったのかもしれない。しかし、この発言、趣旨だけ考えると「80代の女性を助ける人はいない、つまり、若くない女は、助けてもらえない」と言っているのと、大して変わらないのではないか。有働アナは自分も含めて「女性を下げる」ことが、場を盛り上げるコツと信じているようだが、それが面白いと信じているのなら、セクハラするおじさんと考え方が同じように思う。「あえて声高に」と言うけれど、骨の髄までおじさんに染まっている有働アナに、ジェンダー的な視点は期待できない気がするのだ。
ニュースや選挙速報は、NHKと決めている人は多いと聞く。民放と違って、全国津々浦々に放送されるNHKは、お年寄りなど保守的な層の視聴者をつかんでいると言えるのかもしれない。しかし、今後、有働アナが勝負する民放23時台の視聴者は、肩書やわかりやすい自虐で心をつかまれるほど、甘くはないのではないだろうか。
NHKの割に面白いのか、NHKとは思えないくらい、面白いのか。有働アナの真価が問われる日が、もうすぐ始まろうとしている。
仁科友里(にしな・ゆり)
1974年生まれ、フリーライター。2006年、自身のOL体験を元にしたエッセイ『もさ子の女たるもの』(宙出版)でデビュー。現在は、芸能人にまつわるコラムを週刊誌などで執筆中。気になるタレントは小島慶子。著書に『間違いだらけの婚活にサヨナラ!』(主婦と生活社)『確実にモテる 世界一シンプルなホメる技術』(アスペクト)。
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