滝沢秀明、ジャニーズを救うためにすべきこと……企業コンサルタントが「ジュリー氏との関係」に助言
――ほかに気になるのは、ジャニーズ事務所が同族会社だという点です。そこに同族ではない滝沢さんが関わると、いずれ追放劇のようなことが起こるのではないかと。
大関 確かに、元SMAPのチーフマネジャー・飯島三智氏も、次期トップ候補と言われながら、結局、追放された形になってしまいました。しかし飯島氏は、先ほどの「技術・開発部門」「管理部門」の例で言えば、ジュリー氏と同じ「管理部門」の人間。そうすると、ジュリー氏としては、飯島氏に対して「同じフィールドでどちらが上に立つのか」といった意識が芽生え、最終的に「あなた、いなくてもいいです」ということになったように見えました。しかし、滝沢くんは、「管理部門」ではなく「技術・開発部門」の人間になるわけですし、これまでさまざまな企業を見てきましたが、「管理者が技術者の人事に口を出すこと」は、基本的にできないものなんです。もちろん、共有のビジョンが持てず、業績が悪化した際、ジャニーズ事務所は株主の大部分を同族が占めているため、ジュリー氏が“個人的な感情”で、滝沢くんを合法的に辞めさせることはできますが、滝沢くんが技術者として経営の一翼を担う働きを見せれば、そんなことは起こらないと思います。
――これまでのお話をまとめると、滝沢さんは何よりもまず「ジュリー氏と仲良くすること」が大命題ということでしょうか。
大関 そうです、それが一番大事。ジャニー社長も、恐らくそのあたりは織り込み済みで、滝沢くんを“どんな人とでもうまくやれる”と評価して、後継者を任せることにしているとは思いますけどね。タレントというのは、テレビで見せる顔と素顔が必ずしも一緒ではないでしょうが、滝沢くんは“イジられ役もできる”という印象があります。イジられ役は、人間関係を円滑にするものですが、イジられても広い心で受け入れられる、器の大きさがないと務まりません。芸能事務所のような“人が財産”という企業の「技術・開発部門」のトップとしては、“イジられ役もできる”という資質は重要だと思います。どんな場面でも人の輪に入れ、コミュニケーションを取れるわけですから。
ジュリー氏に対しての接し方ですが、年齢は彼女の方が上ですし、やはり滝沢くんは“立てていく”ことが大切でしょう。自己主張だけで突っ走るのではなく、組織の長となるジュリー氏と同じビジョンを持ちながら、うまく自分の知識・経験を生かしてもらうよう働きかける……という。難しいことですが、滝沢くんはそれが「できる」と見込まれいるのだと思います。逆に言うと、近藤真彦さんや東山紀之さんは、「できない」と判断されたのかもしれません。
――ちなみに、滝沢さんの周囲が気を配るべき点はありますか?
大関 周囲の人たちも、最初から派閥を煽るような形で、「フロント入りした滝沢くんを盛り上げていこう」とすると、ジュリー氏はへそを曲げてしまいますから注意が必要です。「滝沢が私を悪く言っている」などの誤解が生みかねませんし、それは最も避けるべきこと。“会社をひとつまとめる”という大きな目標のために、“現場をまとめるポジション”を滝沢くんが担った……と、周囲も捉えなければいけないと思います。
先ほども言いましたが、恐らく今後、今の主戦場であるテレビの価値というものも、変わっていくでしょう。そんな中で、どうやったらジャニーズが、日本文化の中で重要なポジションになれるのかといったところまで、滝沢くんはジュリー氏と一緒に考えていかなければいけないでしょう。それがタレントやスタッフに伝わり、またタレントの言動からファンに広がっていくことで、「ジャニーズを応援したい」という人が増えていくのが理想ですよね。
取材協力:大関暁夫(おおぜき・あけお)
All About「組織マネジメント」ガイド。東北大学卒。横浜銀行入行後、支店長として数多くの企業の組織活動のアドバイザリーを務めるとともに、本部勤務時代には経営企画部門、マーケティング部門を歴任し自社の組織運営にも腕をふるった。独立後は、企業コンサルタントの傍ら上場企業役員として企業運営に携わる。