サイゾーウーマンカルチャー社会東京五輪ボラ「ブラック企業のカモ」に? カルチャー ノンフィクションライター・恵比須半蔵氏が明かす! 東京五輪ボランティア経験は「ブラック企業のいいカモ」に? 「就活に有利」のウソに迫る 2018/09/15 19:00 社会 東京五輪ボランティアが、逆に就活の妨げになることは? 使い捨てを前提に大量採用するブラック企業のいいカモになる可能性が高いと言えます。 採用担当者のなかには真逆の声もあります。「東京2020のボランティアを自慢げに口にする学生? そりゃ喜んで採用しますよ。安易にブームに押し流される、簡単にメディアの影響を受けて行動する学生は、会社の言うことも疑いもせず聞き入れます。言い方は悪いが、使い捨ての“兵隊”として最高ですから(笑)」(大手金融)。扱いやすい“素直”すぎる学生はブラック企業からは引く手あまたなのです。従順な学生を入れ食いできる「ボランティア経験者採用枠」ができる可能性さえあります。一般企業からは拒絶され、ブラック企業からは諸手をあげて歓迎される。きわめてリスクの高い就活戦術だと言わざるを得ません。 余談ですが、経団連の中西宏明会長が、2021年度入社から「就活ルール」を廃止すると述べたことにより、東京五輪のボランティア活動と就活がぶつかるのではないかと危惧する学生もいるでしょう。しかし現行の採用選考スケジュールを完全遵守している企業はありませんので、気にする必要はありません。採用意欲の強い企業はさまざまな手段で、ほしい人材に接触してきます。 なぜ「ブラックボランティア」と言われるのか? 東京五輪ボランティアをめぐるゴタゴタ、その元凶は“おもてなし”にあります。 東京五輪ボランティアへさまざまな不平不満が続出していますが、突きつめると1つの疑問に要約できます。「なぜ11万人もの無償ボランティアありきのオリンピック運営なのか?」。 不満や疑問を持つ人たちを、さらにいらだたせるのは、ボランティアは無償なのに、参加を呼びかけるウェブサイトやイベントには潤沢に予算が使われているということです。あきらかに矛盾しています。なぜこんな状況になっているのでしょうか? ボランティアが無償ではなくてならない最大の理由、それはズバリ“おもてなし”。言うまでもなく東京に誘致したときのIOCへのプレゼンコンセプトです。“おもてなし”は、善意からなる心づくしの歓迎という意味ですから、外国人観光客を迎えるボランティアたちがお金で働いているではマズいのです。しかしこの混乱している状況下で、湯水のように予算を使う組織委、東京都、さらに受注側の広告代理店は倫理が欠如しているとしかいいようがありません。 ただし「やりがい搾取」という表現は適切ではありません。「ボランティアをやりたいのに、研修とかめどくさそう。それにお金がもらえないなんてひどい!」というのは、甘えた考え、単なるわがままです。事前に条件が開示されているのですから、嫌ならやらなければいいだけのことです。 次のページ そもそも「ボランティアの経験」は今の就活に有利? まっとうな企業は画一的な学生を必要としません。 前のページ123次のページ Amazon 東京オリンピック 東京2020 公式ライセンス商品 ぬいぐるみ マスコット ミライトワ&ソメイティ 2個セット プライズ 関連記事 「介護舐めるな」と批判噴出――“訪問介護をボランティアに”財務省の提案に、現場の本音は?ディズニーランドで働く人の“ブラック”な実情――「パワハラ」「雇い止め」悪しき問題の数々恋愛感情で新卒採用、意味不明の誓約書――ベンチャー企業のブラックすぎるワンマン社長風邪を引いた社員をヒステリックに罵倒! “成り上がり”女部長のブラック体質親の「就活介入」は当然の時代!? 就職予備校にやって来る、大学生の父母の深い悩みとは?