“キラキラ起業女子”は教祖? セミナーにハマって100万円費やした女性の末路
「ここ数年、企業や個人関係なく、数多くのセミナーや勉強会が開催されており、セミナービジネスの市場は急成長していると実感しています。会社に依存しながら生きていくのではなく、自分の能力を高めて何かをしたいと考える人が多くなったのが影響しているのでしょう」
しかし、過渡期の市場であるがゆえに、宣伝文句と中身が乖離しているセミナーも少なからずあるといいます。
「過剰な演出や強い言葉で『必ず成功する』『絶対に変われる』などとうたうセミナーは、危険ですね。パッケージにこだわるのは商売において重要なことですが、そういうセミナーは往々にして、お金にがめつい可能性が高いです」
営利目的のセミナーは、人を囲い込むのもうまいため、一度入るとなかなか抜け出せないのだとか。まさにA子さんのパターンです。
「今は落ち着いていますが、少し前までは、SNSを使って優雅な生活をアピールしてセミナーの集客を増やすというやり方が、盛んに行われていました。言葉や写真で煽るような集客をすると、『内容が伴っていない』というクレームにつながりやすいので、本来なら避けるべきなのですが、とにかく人を集めたいという主催者は、過剰演出に頼る傾向が強いです」
■“誰でもウェルカム”なセミナーも怪しい
また、参加資格を設けていないセミナーも「避けるのがベター」と、安井さん。
「セミナー主催者として、参加資格を設けないことは、基本的にありえません。誰でもOKにすると、参加していただいても有用な情報が何も得られない可能性があるからです。質の高いセミナーにするためには、ある程度の線引きは必須です」
たとえば出版セミナーの場合、売り出したいブログ、SNSコンテンツがある、書き溜めた企画書があるなど、参加資格をある程度絞ります。これを、“誰でもウェルカム”にしてしまうと、「なんでもいいから何かしてみたい」という状態の人が集まるため、セミナーの質が落ちてしまうのだそうです。
「提供する側も、そのセミナーに参加することでどんな学びが得られるのかを、参加者に明確に提示する必要があります。参加者には値段以上の学びや経験を得てもらわないと、セミナーに来てもらう意味がありませんから」
やりたいことを探すためにセミナーに行く場合は、あらかじめ予算を決めておくことが重要、と安井さん。基本的には、そのルールさえ守れば大丈夫だといいます。
ゴール設定があいまいであったり、どう見ても過剰な演出だと思われる主催者のセミナーには、近づかないのが賢明。A子さんのように、散財してから目が覚めた、なんてことがありませんように。
(島野美穂/清談社)
安井麻代(やすい・まよ)
セミナー・イベントの企画から制作、運営までを行う、セミナー・イベントプロデューサー。セミナーや講演会、パーティなどのプロデュースをはじめ、現在までに自身がプロデュースしたセミナー・イベントは1000本を超え、延べ1万人以上を動員。企業、教育機関での講演やセミナー・イベント開催協力、雑誌・ラジオ・ポッドキャストなどへの出演実績などを持つ。新著『セミナー・イベント主催で成功する71の秘訣』(セルバ出版)が発売中。
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