マノロの靴、20万のエステ器具、副業の在庫……“多すぎる欲望”に埋もれた30女の汚部屋
「ゴミと一緒に、自分史も含めて精算しようと思います」とEさん。今回のお片付けは、再スタートの決意表明でもありました。彼女が住んでいる世田谷区の2DKの汚部屋を紹介しながら、こうなった理由も追ってみたいと思います。
Eさんは、まさに「煩悩まみれ」でした。煩悩とは、自分の心をかき乱す、苦しみや悩みを指します。多すぎる趣味と、仕事に関わるモノがこの部屋を支配し「ずっと、心が疲れている」状態だったように感じます。
人間が生活のために、使っていないモノ。つまりモノが生きていない状態は、ほぼ「ガラクタ」です。これが増えるほど、気が停滞します。
ハイブランドが散乱する“汚部屋”
フェロモンが溢れるEさん。華奢なのにグラマラスなスタイルは、ダイアン・フォン・ファステンバーグのドレスがよく似合います。スラッと伸びた美脚には、マノロ・ブラニクのヒール。髪をかき上げる美しい指先には、真っ赤なネイル。ゆっくりと閉じる瞳は、まつ毛エクステを施しています。
その容姿からは、汚部屋に住んでいる女性に思えません。
下着会社、ネットワークビジネス、ハダカの仕事
彼女が暮らす部屋は、「趣味や仕事を頑張った結果」です。ひとつひとつのモノに、努力の思い出が染み付いているため、手放せない状態になっていました。
どんな人生だったのでしょう?
18歳で東京のデザイン学校へ通うために、一人暮らしを始めたEさんの人生は「働きっぱなしだった」と言います。
はじめの仕事は、輸入ランジェリーの下着フィッター。お給料が少なく、ヌードモデルの副業をはじめました。21歳のとき「女性を褒めるのが上手ね」とスカウトされ、ネットワークビジネスに誘われました。23歳になると、IT系企業の営業職に転職成功。やりがいもあり、27歳で管理職まで出世しました。その裏で、続けていたネットワークビジネスの負債が膨らみます。やがて、家賃も払えなくなるほど、お金に追われるように……。
覚悟を決めたEさんは、昼の仕事を辞めて裸のお仕事(ストリップ、デリヘル)で借金返済に努めます。「30歳までに、ネットワークビジネスを辞める」それが、Eさんにとってひとつめのゴールでした。