サイゾーウーマンカルチャーインタビュー女芸人のブスいじりは悪なのか? カルチャー インタビュー アジアン・隅田美保、テレビ復帰――「女芸人のブスいじり」は絶対的な悪なのか? 2018/09/10 18:45 インタビューお笑い芸人 容姿いじりに頼らない笑い では今後、女芸人のブスいじりはどうなっていくのだろう。女芸人のブスいじりは、必ずしもネガティブな側面だけでないとした瀬沼氏だったが、ポリティカル・コレクトネスの流れにおいては、容姿いじりに頼らない笑いを見つける必要性も感じているという。 「日本の笑いは、基本的に身内ウケ。芸人は、芸能界という身内の中であれば、下ネタ、パワハラ、セクハラOKになっている現状は確かにあります。ブスいじり批判には『ほかの笑いってないの?』といった意見があると思いますが、徐々に新しい笑いを作っていけたらいいのではと感じますね。正直、見た目を笑いに変えられないって、芸人はとても悩むはず。でも、日本の芸人は、社会の空気を読んで笑いをつくるのがうまいので、期待したいところです」 しかしその半面、「BIG3(ビートたけし、タモリ、明石家さんま)、ダウンタウン、とんねるず、ウッチャンナンチャンといった芸人界のトップたちは、全員男性。松本人志さんが、以前『ワイドナショー』(フジテレビ系)で、『素人はハラスメントNGだけど、芸人はOK』といった旨の発言をしており、上の立場の人がそういった姿勢だと、男性優位の構図は、変化の兆しはありつつも“完全” には変わらないのでは」と、瀬沼氏は現実的な見解を示す。 そういった背景ゆえ、今後も視聴者が、女芸人のブスいじりを「不快」「弱い者いじめ」と感じるシーンは散見されるかもしれないが、瀬沼氏は、女芸人が男芸人に“いじられる笑い”ではなく、男芸人を“いじる笑い”が「もっと増えれば」と願望を述べてくれた。 「最近、さんまさんを女芸人がコテンパンにいじるといったシーンを見かけるようになりましたが、まだまだ少ない。日常生活や仕事の場でも、女性がいじって笑いを取ることが、いまいち確立されていない気がします。アラフォー男性である私の立場からすると、妻しかり女友達しかり、女性のコミュニケーションにおける強さをすごく実感しているだけに、今後のバラエティにおける女芸人の振る舞いは、女性たちにコミュニケーションの幅を広げるきっかけを与えるのではと思っています」 女芸人のブスいじり問題に一石を投じた隅田が、今後、男芸人たちにどう対峙していくのか。その姿を女性たちはどう受け止めるのかにも、注目していきたい。 【著書紹介】 『ユーモア力の時代―日常生活をもっと笑うために』(日本地域社会研究所) 生活の中にユーモアがあると、自分が見ている世界や日常はもっと面白くなる――そんな“ユーモア”について分析、その効果の大きさと影響力を示すとともに、誰にでもできるユーモア力アップの方法と技術を具体的に紹介した1冊。 前のページ1234 最終更新:2018/09/10 19:11 Amazon NAOMI (ヨシモトブックス) 雑なブスいじりをやってる一般男性が一番寒い 関連記事 にゃんこスターはなぜ若者にウケる? 「YouTuber的」「いいね!感覚」変容する“面白い”の意味「石橋貴明のバブルノリ」が嫌われてしまうワケ――フジ『たいむとんねる』大コケを考える渡辺直美、“肥満”を武器にする芸風に「女の生きづらさ」を感じてしまうワケ横澤夏子、結婚報告に見る“学生時代のカースト”に縛られ続ける女の悲哀「SNSで自慢する女」への嫌悪感を語る横澤夏子、その裏側に見える“見下し”の目線 次の記事 『探偵が早すぎる』滝藤の過剰さ >