ダイソー100円サプリ「ギャバ」は「根拠なし」「薄めただけのもの」!? 専門家が大ヒットの裏を読む
そもそもギャバとは、天然アミノ酸の一種である「γ-アミノ酸」の略称である。脳や脊髄で抑制性の神経伝達物質であり、サプリなどで経口摂取することにより、リラックス効果が得られるといわれている。
「ギャバが抑制性の神経伝達物質であること、また、脳や脊髄にたくさん存在していることは事実です。ただし、ギャバを飲んだことによって、それが『脳に届く』ということはありません。脳の入り口にある『血液脳関門』という関所を、ギャバは通過できないからです。グルコサミンやコラーゲン同様、それ自体が軟骨の生成を促す成分、肌を構成する成分だからといって、飲めば直接『関節に作用する』とか『肌に作用する』というわけではありません。体内で必ず代謝されますからね」
となると、ギャバを飲むとリラックス効果が得られるということ自体、まったくの嘘になってしまうが、「そのようなデータがあるのは事実」だそうだ。
「ギャバを摂取した人の脳波を測定したり、『リラックス効果はありましたか?』『睡眠は改善しましたか?』といったアンケート試験を行った結果、『ギャバにはリラックス効果がある』とのデータが得られてはいるものの、実際に『脳内のギャバが増えた』ことは証明するのは難しい、“根拠がない”んです。これはあくまで例えばの話ですが……経口摂取したギャバが体内で代謝され、腸管の受容体に作用して、体内でシグナルとなり、脳に『ギャバを増やしなさい』と命令を出している可能性などはあるかもしれません。しかし、結局は摂取した人の主観によるデータしか得られていないのが実情です」
柴田氏いわく、ギャバに関する実験データには「被験者が8~10人しかいないなんてものもあり、その人数であれば、『リラックス効果がある』という結果が“偶然”出たことも考えられます」と、厳しい目を向ける。
「企業はこういったデータが、いかに販促資料に使えるかを重視します。例えば1回目の実験で『効果あり』、2回目は『効果なし』の結果だったとしても、『1回でもいいデータが出たのだから』と、そちらを販促資料に使うんです。一般の消費者は、グラフなどでデータを見せられると、サンプル数(N数)がいくつなのかには目がいかないでしょうし、また実験のバックボーンを知ることもありません」
サプリ業界には、こうした舞台裏があるだけに、「ギャバのリラックス効果は絶対」と信じ込むのは、早計というべきかもしれない。