“処女性”重視はもう古い? 須藤凜々花、「アイドルが結婚すること」への意識に思うこと
アイドルの結婚と言えば、秋元氏はメンバーの恋愛には否定的のようだが、結婚には肯定的であるらしい。「BEAUTY WEEK AWARD」授賞式で、指原が、秋元氏から「結婚して卒業しなさい」と言われたと明かしていた。恋愛の先に結婚があると考えた場合、矛盾しているように思えるが、もしかすると、秋元氏にとって、恋愛と結婚はまったく違う意味を持つのではないだろうか。
アイドルの結婚・引退の代表例といれば、昭和の大スター・山口百恵だろう。百恵は、結婚が決まった当初は、芸能界を引退するつもりはなかったと、『蒼い時』(集英社文庫)に書いている。その後、夫・三浦友和のために引退の気持ちを固めたものの、プロダクションがドル箱の百恵をすんなり引退させるわけはなく、友和にもたくさんのプレッシャーがかけられたという。また、婦人科系に異常を感じた百恵が、友和のために「完璧な自分でいたい」と、好奇の視線を覚悟で、一般女性にまじって大学病院の産婦人科に行き、診察を受けたエピソードもあった。
秋元氏は、このような「好きな人のために全てを捨て、全身で愛する」百恵方式こそが、結婚だと思っているのではないか。1人の男性や家族のために生きるというのは、処女性を感じさせる行為であり、アイドルとして守らねばならないイメージの延長線上にあるように思えるのだ。
しかし、須藤にとって結婚とは選択肢の1つで、もっとライトでカジュアルなもののように感じるのである。ニュースサイト「アサ芸プラス」で、テリー伊藤と対談した須藤は、今後の展望として、大学受験やドイツ留学を挙げており、1人の男性や家族のために生きるという考えは持っていないように見える。結婚は、やりたいことのワンノブゼムでしかないように私には感じられた。
もし秋元氏が、女性アイドルにとって結婚は人生の完璧な落としどころだと思っているとしたら、もうそういう時代じゃないんじゃない? と、言いたい気がする。
仁科友里(にしな・ゆり)
1974年生まれ、フリーライター。2006年、自身のOL体験を元にしたエッセイ『もさ子の女たるもの』(宙出版)でデビュー。現在は、芸能人にまつわるコラムを週刊誌などで執筆中。気になるタレントは小島慶子。著書に『間違いだらけの婚活にサヨナラ!』(主婦と生活社)『確実にモテる 世界一シンプルなホメる技術』(アスペクト)。
ブログ「もさ子の女たるもの」