H&Mの抱える“3つの地雷”! 「流行遅れ」「安くない」「場末感漂う店内」停滞の理由とは?
1.ジーユーなどの国内低価格ブランドに負けた!?
2009年の上陸当初は破竹の勢いでしたが、実は15年頃からその勢いは如実に鈍っていました。代わって急激に売上高を伸ばしたのがジーユーです。10年に「トレンド対応ブランド」へ転身してから急激に売上高を伸ばし、12年から16年までで実に約1300億円も売上高を伸ばしています。これに加えて、「アースミュージック&エコロジー」「アメリカンホリック」などを展開するストライプインターナショナルや、「ローリーズファーム」「グローバルワーク」などを展開するアダストリアホールディングスなども売上高を大幅に伸ばしています。H&Mは、これらの国内低価格ブランドに客を奪われたと考えることができます。
なお、ストライプインターナショナルの単体売上高は10年には400億円だったのが、17年1月期には990億円にまで拡大。また、アダストリアホールディングスは18年2月期に連結売上高で2200億円の巨大アパレルに成長しました。加えて、ユナイテッドアローズの低価格ブランド「コーエン」も好調ですし、アーバンリサーチは低価格ブランド「センスオブプレイス」の店舗数を40店舗以上にまで増やしています。H&Mに限らず、フォーエバー21などの外資低価格SPAが停滞気味である背景には、消費者の“日本ブランド”に対する信頼感に勝てなかったという面があるのかもしれません。
2.実は“ファスト”ではなかった!?
H&Mジャパン社のクリスティン・エドマン前社長(16年12月退任)は、いつも「H&Mはファストファッションではない」と発言していました。これは、価格が安いことを否定しているのではなく、「企画が速い(ファスト)」と言われることを否定していたのです。ビジネスニュースサイト「BUSINESS INSIDER」の記事によると、「H&Mは、デザインから製造まで最大6カ月を要する」とあり、「2~5週間」といわれるZARAに比べると、確かに格段に長い時間がかかっているのがわかります。これはつまり、期中での小刻みなトレンド変化に対応できないということです。
このように、実はファストではない点が、米国では“H&M苦戦の要因”として挙げられているそうですが、現在、世界2位のH&Mの売上高を猛追している世界第3位のファーストリテイリングの主力ブランド「ユニクロ」は、1年前から商品の企画作りを開始します。にもかかわらず、ユニクロが増収し続けていることを考えると、H&Mは企画から製造までのサイクルが長いことというより、企画の精度が低いことが問題といえます。H&Mも、1年前から企画してヒットを外すことが少ないユニクロ並みの企画精度を身につけることができれば良いだけのことです。消費者も、“何となく流行からズレてる”ものばかりが店頭に並んでいては、足が向かなくなるのではないでしょうか。