事故死した『ワイルド・スピード』のポール・ウォーカーのドキュメンタリー番組、予告編で泣けると米ネットで話題に
ストリート・レーシングとそれに興じる人々を描いた人気映画『ワイルド・スピード』シリーズの主人公を演じ、透き通るような碧眼で世界中の女性のハートをつかんだポール・ウォーカー。
彼は2歳のころ頃からモデルとして活動を開始し、CMなどに出演。12歳で子役としてテレビドラマに顔を出すようになり、翌年カルト的人気を誇るSFホラーコメディ『モンスター・イン・ザ・クローゼット/暗闇の悪魔』(1986)で映画デビュー。『ディードル・ブラザーズ/悪ノリ双子の大作戦』(98)で注目を集め、ヴィン・ディーゼルとW主演した映画『ワイルド・スピード』(01)で大ブレイクした。
子どものころから芸能活動に勤しんでいたポールだが、家族やプライベートな時間も大事にしていた。15歳の時には妹アシュリーとぺアを組んでゲーム番組に出場し、準優勝という好成績を収めた。長年交際していたレベッカ・ソテロスとの間にもうけた一人娘メドウをかわいがり、彼女が13歳の時に引き取ってシングルファーザーとして子育てに奮闘。車のカスタマイズやチューンアップを行うカーショップも経営し、レーシング・シリーズにも出場していた。
南カルフォルニアにある複数のコミュニティ・カレッジで海洋生物学を勉強し、06年にはカジキの保護財団の理事に。10年には長年の夢だったドキュメンタリー専門チャンネル「ナショナルジオグラフィック」の番組『Shark Men』に出演し、11日間クルーとして船に乗り、7匹のホホジロザメを捕まえて保護/観察用のタグを付けるなど精力的に活動。非営利団体を立ち上げ、10年のハイチ地震には援助チームを派遣するなど、13年11月30日に40歳の若さで事故死するまで、一日たりとも無駄にすることなく有意義な賞が気を駆け抜けたのだった。
そんなポールの秘蔵映像を交えながら、親しい人たちが彼を語るドキュメンタリー番組『I am Paul Walker』がアメリカで8月11日に放送される。7月26日、番組の最初の予告編映像が公開され、「たった2分の予告映像なのに涙なしでは見られない」とネット上を感動の渦に巻いている。
予告編は子役時代の「オーディション用のテストビデオ」らしきものからスタート。弟のコーディとカレブ、ゲーム番組に一緒に出演した妹のアシュリー、さらに叔父がポールの人間像を語るのだが、みな”真っ青な瞳”でポールにどことなく似ており、「彼が生きていたら……」と悲しみを誘う。友人たちがポールを語る時に、自然と笑顔になるのも印象的だ。
『ワイルド・スピード」のロブ・コーエン監督は、「サーフィンと娘。オレが大切にしたいのはそれだけ」というポールの発言を紹介。「映画で彼の魅力をすべて伝えるのは不可能だった」とため息をついた。ポールが主演した映画『ワイルド・バレット』(06)の監督は「彼は5回分の人生を生きた」と言っていたが、もっと生きてより多くの作品や活動を見せてほしかったと思う人も多いだろう。
予告編にはプライベートで撮影された秘蔵映像が流れ、高校卒業前のダンスパーティーに向かう際の、タキシード姿で優しげな笑顔を見せるポールが映る。その笑顔は亡くなったころと同じで、有名人になっても地に足がついた生活をしていたことがうかがえる。
『I am Paul Walker』予告編は、ポールがいかに魅力的な俳優で魅力的な男性だったかを伝えており、改めてその死を惜しまずにはいられない。