名門幼稚園で勃発した「劇の主役」争い――セレブママの言う「不平等」に園側の対応は?
和代さんは、娘を噛んだ張本人を見つけるため、名前の代わりに靴箱に貼ってあるマークを指していき、直接子どもに確認したという。あるマークのところで娘がうなずいたため、犯人を発見できた。
「送迎の時間が違うため、相手の親とほとんど会う機会がなかったのですが、保護者会の時に声をかけて『うちの子が噛まれているみたいなんです』と伝えました。保育園側は、噛みつきの事実をきちんと伝えていなかったようで、向こうは“言いがかりではないか”という顔をしていました」
この保護者の態度に怒りを感じた和代さんは、担任の保育士に「どういうことですか?」と問いただした。
「園児同士で噛みついたりするのは成長途中でよくあることと思っていたみたいで、『2歳になれば落ち着きます』と説明されたのですが、納得いきませんでした。また、うちの子がブロックを使う順番を守れず、奪い取ってしまうことがあったため、ほかの子に噛まれることもあったそうですが、そんなの保育士が見ていて防ぐべきじゃないですか。園児数が多い保育園なので、管理が行き届いていないと役所にも伝えました」
保護者間のトラブルを防ぐため、加害者側の名前を教えないよう対応する保育園は多い。しかし、ケガをさせられた方の親は納得がいかず、園長や園を運営している親会社などにクレームを入れることもあるようだ。
幼稚園とは違い、保育園は預かり時間が長く、年齢の違う子同士を同じ部屋で過ごさせる合同保育や、園庭での自由保育などを実施することもある。こういった状況下で、保育士は常に注意を払っているだろうが、小さなケガや、園児同士のじゃれ合いにも似た噛みつき、爪で引っかくという行為は、見過ごしてしまう場合もあるだろう。しかし、どんな小さなトラブルでも、親同士の諍いに発展する可能性はあるだけに、園側も、保護者が納得いくような説明をする、またその環境を作る必要があるのかもしれない。
(池守りぜね)