カルチャー
ビジュアルマーチャンダイジング(VMD)コンサルタント・内藤加奈子さんインタビュー
アパレルの「過剰接客」がなくならないワケ――やたらと声を掛けるのは“時代遅れ”?
2018/07/14 16:00
アパレルショップが苦手。ちょっと気になる服を手に取ったが最後、ものすごいスピードで近づいてきた店員さんに「それかわいいですよね~」「私も色違い持っているんですよ~」などと張り付いたような笑顔で話しかけられ、こちらも気を使って、あまり買う気もない洋服を褒めたり、互いの乾いた笑いが続く。あの時間が、ドッと疲れてしまう。
できれば実物を見て生地やサイズ感をじっくり確かめたいが、店員さんに話しかけられることの煩わしさを考えると、だんだんと足が遠のくようになり、最近は通販で購入することも多くなってしまった。そんな人は少なくないのではないだろうか?
女優の石田ゆり子もアパレル店員に対し、Instagramで次のように綴っていた。
「あの、わたしいつも思うんですが 用事があるときは呼びますから どうかどうか 放っておいてください…ゆっくり見たいんです 黙って見たいんです 自分と対話しながら見たいんです (中略)でも、手に取るものすべてを、それは~です それ、わたしも持ってます それは素材が~~…と それはやはりちょっと疲れてしまうんですね。つかずはなれず。距離を保つ。察する。というのはやはり必要かと思うのです。ふぅ~」(原文ママ)
この投稿はネットを中心に炎上し、現在は削除されてしまったが、石田が苦言を呈したように、アパレル業界では「過剰」ともいえる接客術がまん延している。過剰に接客されるほど購入意欲は削がれて、むしろ逆効果なのではと思えるが、この手法が一向になくならないのはなぜなのだろうか?
その背景には、ファッション業界の“旧態依然”とした販売マニュアルがいまだ継承され続けている現実があるという。