大災害時こそ“ヤクザの出番”!? 元極妻が明かす、コワモテが非常時に活躍するワケ
そして、もうひとつのヤクザの出番は、がれきの撤去作業です。道に散乱したさまざまなものをどかさないと、クルマが通れません。実は、解体業と並んでレッカー車などの移動業務は、資本金が少なくてもできる「屈強なオトコたちのビジネス」なのです。もちろん解体業者さんやレッカー業者さんが「反社会的勢力」という意味ではないですよ、念のため。「屈強なオトコたち」の中には、少なからず不良もいたということです。
「地震や津波が起こったら、真っ先に乗り込むのはレッカー部隊だよ。がれきをどけないと、先に進めないからな」
引退した親分が、懐かしそうにこうおっしゃっていました。
「ヤクザが被災地に入るのは、シノギのタネを見つける目的もあるっちゃあるけど、マジで『困った時はお互いさま』と思ってるから。家を失った人たちが自分の作った焼きそばを食べて『おいしい』って言ってくれたら、うれしいんだよ、純粋に。まあ家庭に恵まれてないから、承認欲求ての? も強いんだわ」
そうなんですよ。不良になるのは、たいてい家族に問題がある子どもですね。本当は寂しいんですよ。
「そうはいっても、物資を調達したり運んだりするカネは、『どうせ人を泣かせて取ったカネだろう』って言われるから、痛いやね(苦笑)。まあ、街角で募金集めてるヤクザもいるからなあ」
ガクッとくるオチですが、暴排のせいで「人を泣かせない合法なビジネス」がシノギにできないのですから、何だってやるしかありません。過度な暴力団排除で、いいことは何もありません。「ヤクザをやめろ」というなら、正業に就けるようにしないと「貧困暴力団」による犯罪がますます増えますよ。
■暴排が生んだ「貧困暴力団」
災害から話が飛びますが、「貧困暴力団」が問題になっているようですね。暴排条例によって正業に就けず、困窮のあまり「任俠」を忘れてなりふり構わない暴力団、というような意味らしいです。報道によれば、「貧困暴力団」の犯罪は、薬物、密漁、他組織や半グレとの連携などだそうで、「いや、それは昔からだし」というのがヤクザ業界の共通した見方です。
「新しい脅威」とかいわれていますが、これだけ締めつけられれば、今までやらなかった犯罪だってやりますよ。さすがに海外銀行の内部情報をハッキングしてATMで14億円ものお金を一斉に不正引き出しするような事件は、以前では考えられませんでしたね。2016年の事件ですが、関係者の逮捕は最近まで続いています。
こうした犯罪を可能にしたのは、テクノロジーですね。LINEで連絡を取り合っていたそうですが、全員と連絡を取って指令を出していたのは数人でしょう。みんなでやっていたら、必ず取り分でモメますからね。ヤクザらしくない犯罪に走らせているのが、暴排条例なんですよ。
ヤクザも元ヤクザも、正業に就けていれば犯罪も減りますし、何より労働現場での人手不足も解消されますよ。これからは建設業を含めて空前の人手不足時代がやってきますし、大災害時にもヤクザが活躍したら、かなり助かると思います。