コラム
【連載】庶民派ブランドの落とし穴
しまむらが抱える“3つの地雷”! 「都心の人には相手にされない」という大問題の背景
2018/06/30 20:00
しまむらの成長を支えた要素はいくつかあります。まず、それを見てみましょう。
1.売り切れ御免方式の“バラエティ豊富な品揃え”でファン急増
低価格衣料品を「売り切れ御免」で販売したことです。同じ低価格衣料品でもユニクロは大量生産することで1枚当たりのコストを下げて安い定価で販売していますが、しまむらはもともと、いろいろなメーカーの不良在庫を安く引き取ってきたから、バラエティ豊かな品揃えで安く販売することが可能でした。それが、掘り出し物を見つけたいしまらーの心をつかんだとも言えるのではないでしょうか。
2.地方郊外に出店&チープな外観・内装でコスト削減
低価格品の販売なので1枚当たりの利益額はそれほど大きくありませんから、とにかくローコストを追求すべく、土地代・家賃の安い地方郊外のロードサイドという立地に出店を続けてきました。また建物の外観・内装ともにチープともいえる簡素な作りで、いわゆる「ブランド」らしい装飾性は皆無です。こういったところにお金をかけない戦略なのでしょうが、翻れば、消費者にとっては「だからこそ安い」という利点が生まれました。
3.小商圏獲得を目的とする多店舗展開で「身近さ」を感じさせる
大手低価格ブランドは基本的に各社とも店舗数を多数抱えていますが、しまむらの店舗数はというと、ほかの低価格ブランドに比べて群を抜いています。しまむらは商圏(店舗に集客できる範囲)を5000人規模と小さめに設定しており、それゆえに店舗数を増やしてきました。しまむらグループ全体で見ればしまむらが1416店舗、アベイルが318店舗、バースデイが272店舗、シャンブルが98店舗、ディバロが16店舗(18年現在)となっています。ユニクロでも800店舗台なので、それに比べるとしまむらの1416店舗というのは圧倒的な数。消費者にとっては、どこにでもあるという身近さを感じさせるでしょう。