コラム
【連載】庶民派ブランドの落とし穴
しまむらが抱える“3つの地雷”! 「都心の人には相手にされない」という大問題の背景
2018/06/30 20:00
今回は「ファッションセンターしまむら」を見てみたいと思います。2009年頃、しまむらで洋服を買う女性が「しまらー」と呼ばれ、大いに盛り上がりましたが、現在では一段落した感じがします。会社全体の売上高は年々伸びているものの、儲けを示す営業利益の伸び率は鈍化し、既存店売上高も伸びていません。業績面から見ても、しまむら人気はピークアウトしていると言えるのではないでしょうか。
さて、しまむらが支持された理由は、値段が安い割りに良いデザインの服があるという点で、さらにその商品の店ごとの枚数がそれほど多くないことから、ほかの人と服装が“かぶらない”という利点でした。この部分は、他人と服装が“かぶりまくる”ユニクロとは正反対だったと言えます。とはいえ、09年頃までしまむらは若いファッション好きの女性に支持されていませんでした。それ以前は、どちらかというと“安かろうダサかろう”な店で、節約好きな年配の主婦層御用達の店だったのです。それが一変して「しまらー」が生まれたのは、09年頃にファッション雑誌モデルの益若つばささんが愛用していると発言したためだと言われています。
これに加え、08年に起きたリーマンショックによる不況で、それ以前よりもさらに低価格品が求められるようになったという要因から、人気はにわかに加熱したと言えます。しかし、その人気も長くは続かず、5年後の2014年には退潮しています。
ではどうして、しまむらの勢いは止まってしまったのでしょうか。筆者は、「これまで、しまむらの強みとされていた部分が弱みに転換しているからだ」と見ているのですが、今回はそれをひもといていきたいと思います。