「その塗り方NGです」皮膚科医が、間違いだらけの「日焼け止めの塗り方」をぶった斬り!
――日焼け止めで肌荒れを起こすという話も聞きますが、そのようなことはあり得ますか?
矢沢 吸収剤の入ったタイプだと、吸収剤が紫外線を吸収した際に起きる化学反応によって、肌荒れを起こす場合があります。とはいえ、吸収剤に比べれば荒れにくいとされる散乱剤も、肌の乾燥を招くので、絶対に荒れないというわけではありません。いろいろ試してみて、自分の肌に合ったものを選ぶといいでしょう。
――紫外線対策はビタミンD不足を招くというウワサもあるのですが、実際はどうなのでしょうか?
矢沢 どんなに対策をしていても、完全に紫外線をカットできるほど完璧な人はそういないでしょうから、普通に生活していれば少なからず紫外線には当たっているものです。それに、ビタミンDは食事からも摂取できるので、そこまで意識しなくて大丈夫だと思いますよ。
――最近は「飲む日焼け止め」というものもあり、日焼け止めを塗るのが面倒くさいという人に人気のようですが、やはり体内からのUVケアも意識した方がいいのでしょうか?
矢沢 飲む日焼け止めは、紫外線を浴びた時に、体内で発生する活性酸素を除去してくれる抗酸化作用が期待できるというもの。そもそも日焼け止めと同じ土俵には立っていないんですね。なので、飲んだからとそれだけで安心してはいけません。あくまで塗るタイプの補助的な物として捉え、上手に活用しててほしいと思います。
皮膚科医が「日焼け止めを塗らない」ワケ
――紫外線対策は、雨の日や冬場、室内でも必要なのでしょうか?
矢沢 室内でも紫外線にはあたるし、晴れの日を100とすると、曇りで60、雨でも30くらい紫外線量があるので、1年を通して対策はしてほしいですね。将来シミになってもしわになっても皮膚がんになってもいい! という覚悟があるなら、何もしなくていいですけど(笑)。ただ、そういう私は普段あまり日焼け止めやファンデーションを塗っていないんです。なぜなら、日焼け止めを塗ることで、肌のバリア機能が破壊されて肌トラブルを起こしたり、日焼け止めが毛穴を塞いで毛穴が開いたり、塗ったり落としたりで肌を擦る回数が増えるなど、日焼け止めによる肌荒れリスクがないわけではないと思うから。その代り、遮光を徹底しています。
――徹底的に遮光するというと?
矢沢 冬場もニット帽にサングラス、マスクなどで完全防備していますが、特に紫外線の強い夏場は、日傘、つばの広い帽子、サングラスはもちろん、遮光率100%のフェイスガードとネックガード、手袋、タイツなどで、全身を完全に覆っています。サウナ状態で暑いし、見た目も『プロゴルファー猿』(小学館)に出てくる「ミスターX」みたいでかなり怪しいですが(笑)、紫外線はカットできていますよ!
矢沢真子(やざわ・まさこ)
2001年、東京女子医科大学医学部卒業。北里大学形成外科・美容外科に入局し、日本形成外科学会専門医取得。北里大学メディカルセンター、上尾中央総合病院、北里研究所病院などの勤務を経て、16年AOHAL CLINICに勤務(非常勤)し、現在に至る。
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