コラム
“噂の女”神林広恵の女性週刊誌ぶった斬り!【第415回】

勝間和代、確固たる地位も経済的基盤もある有名評論家が“カミングアウト”した意味

2018/06/05 21:00
「女性セブン」6月14日号(小学館)

下世話、醜聞、スキャンダル――。長く女性の“欲望”に応えてきた女性週刊誌を、伝説のスキャンダル雑誌「噂の真相」の元デスク神林広恵が、ぶった斬る!

 財務省の決裁文書改ざん問題で、佐川宣寿・前理財局長ら38人が不起訴に。そして内部調査でも“佐川の指示”とトカゲの尻尾切り。麻生太郎財務相はその原因を質され、「それがわかりゃ苦労せんのですよ」と開き直った。独裁国家のやりたい放題、だな。

第415回(5/31〜6/5発売号より)
1位「勝間和代×同棲美女恋人 愛と性を語る」(「女性セブン」6月14日号)
2位「日大アメフト『悪質タックル』大炎上させた“汚い大人の事情”」(「女性セブン」6月14日号)
3位「広瀬香美 前事務所の芸名使用禁止は『嫌がらせ』一方的な言い分に“法律の神様”が下した答え」(「週刊女性」6月19日号)

 経済評論家の勝間和代が女性と交際し同棲していることを公表して話題となったが、その勝間とお相手女性の増原裕子さんが「女性セブン」に登場、出会いから現在までの状況、そしてLGBTについて語っている。

 LGBTについてそれほど知識がなかったらしい勝間だが、増原さんのFacebookを見たことがきっかけで出会い、今年1月に自分の思いを打ち明けたことから交際、同居がスタートしたというこの2人。

 このニュースを聞いて“こういう手もあったのか”と思った。現在の日本では残念ながらLGBTに対する理解は、まだまだ進んでいるとはいえない。特に安倍政権下で、こうした問題に取り組むべき政治家たちによる、差別や偏見を助長するような言動がしばしば見られるし、2017年に改訂された教育指導要領でも「LGBTを指導内容として扱うのは、保護者や国民の理解などを考慮すると難しい」として却下された。国連人権理事会からも、日本のLGBTに対する差別を指摘されたほどだ。

 そんな中、勝間という著名人、しかも2度の離婚歴と3人の子どもがいる女性が、49歳にして女性のパートナーを得た。相手は一般人とはいえ、13年に元タカラジェンヌと同性結婚式を挙げて話題になった40歳女性だ。確固たる地位も経済的基盤もある大人の女性が、しかも論客としても知られる有名評論家がカミングアウトした。彼女は影響力もあるし、弁も立つ。LGBTに目くじらをたてるであろう保守層やおやじどもも、ヘタな批判ができにくいかも、と思ったからだ。

 これがまだ20代や30代なら、無理解な日本社会においてパージされ、仕事もなくなる恐れを考えてしまう。しかし勝間ほどになれば、皆無とはいえないが、そうした心配は若手ほどないのではないか。

 しかし、勝間のコメントを見ると、やはり現状は厳しいようだ。2人が同居した理由も「会いたいと思っても、外では会いにくい」からで、関係を「公にしたら何が起こるかわからないと不安でした」という。さらに仕事にしても同様だった。

「私がカミングアウトすることで、一緒に仕事をする人にもどんな影響があるのか想像もつかないので、仕事に影響が出ることは最小限にするつもりでした」

 勝間をしてこうなのだ。そうした現状の中で、今回の勝間のカミングアウトは意義あるものだと思う。だが、これが“話題”ではなく“当然”として受け止められる社会になってほしい。性や生き方は多種多様、そんな常識を受け入れられる社会になる日を祈って。

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