イケメンはどこに消えた!? 場末のスナックで泥酔する“小太りオージー”と悪夢の一夜
「山芋ちんこ」を乗り越え、やっと出会えた運命の人――。
それは、外国人バーにて捨て身の「生け捕り作戦」(=ナンパ)でゲットした、アレックス・ペティファー似の奇跡のイケメンオーストラリア男子、エリックであります!
(前回はこちら:「外国人バー」で捨て身のナンパ大作戦!? オーストラリアの英語講師とカラオケで運命の出会い)
奇跡のイケメンと待望の再会! 場末スナックで待つ彼は……
帰りの電車の中で、別れ際にハグされた時の彼の甘い香りを反すうしつつ「昨日は楽しかった。また会いたい」とメールすると、彼からは「僕もだよ! 次に会えるのを楽しみにしている」という返事。
ああ、これから恋が始まるんだなあ、とうきうきしながら眠りについたのですが、しかし、その後エリックにメールを送っても返事はこず……。そりゃそうか、あんな上玉、そんな簡単に落ちないよなあ、と半ば諦め、気持ちを切り替えつつ新たな出会いを求めて、地道に外国人出会い系サイトを流す日々を過ごしていました。
それから数カ月たったある冬の日の夜、なんと突然、エリックからメールが!
「今から君に会いたい」と、言うではありませんか!!
友人と飲んでいた帰りで、今ひとりでいるんだけど、一緒に飲まないか……というお誘い。場所はどこかと尋ねると、なんと私の自宅からチャリで行ける距離なので「すぐ行く!」と返事をしつつ、風呂へ。だって、「そういう流れ」になってもおかしくないし……!
あの奇跡のイケメンに会える! と胸を高鳴らせて念入りに化粧をし、勝負下着をつけ、首筋に香水をふり、チャリで彼のもとに向かったのです。
彼が「寒いので先にお店に入ってる」と言うのでその場所を探してみると、そこはオバちゃんママがカウンターにいる、いわゆる「スナック」。
「えええ!? 近くにバーもあるのに、なんでまた……。外国人イケメンが昭和風スナックなんて笑える〜」なんて、ちょっとズレてるところも微笑ましく思いながら、お店のカウンターに座っている彼を見つけ、声をかけました。
彼がこちらを振り向いた瞬間……
「誰!? このブサメン!!!!!」
そこには、アレックス・ペティファーのかけらもない、ちょい小太りブサ外国人が。しかもネクタイやシャツをだらしなくゆるめ、ベロベロに酔っている!! わ、私、コレと待ち合わせてたのか。コレのために、ソッコーで風呂とか入ってお化粧して……? アレックス・ペティファーはいずこに……?
絶望しかない頭を絞って考えました。いったい何が起こっているのか……。
そうか! エリックに出会った頃は、山芋デヴィットくらいしか、まともに外国人男子の顔を見たことがなかった!
出会い系サイトを流しているうちに目が肥えて、今の私にはエリックがブサメンにしかみえなくなってしまった? ……いや、エリックは最初からブサメンだったのに、私の“外専女子”として未熟だった審美眼が、イケメンと判断してしまったのか……。
我に返れば、場末感漂うスナックに、ブサメンと2人。
60代くらいのオバちゃんママはニヤニヤして「お友達?」と聞いてくるし、恥ずかしいやら、悲しいやら、自己嫌悪やら。もう……とにかくこの場を去りたい!! と思い、エリックに会計させて店外へ出たのでした。
そうはしたものの、季節は冬。夜は寒いし、道端にエリックを放ってもおけないので、やっぱり酔いを覚まさせてから帰そうと、近くの小さなダーツバーへ寄ることに。千鳥足気味のエリックを連れていき、2人でカウンターに座ると、なんとヤツはそのまま眠り始めたではないですか。
「ちょっと、起きてよ、寝るんだったらもう帰ろうよ」と言いながら何度も体をゆするけど、起きない……。周りの若者客の「なにあの女? ガイジン酔わせてアレしようってか」的な視線がキツく、泣きそうになる。
あまりにもつらいので、もう家に帰そう、と外に出てタクシーに乗せると、奴は「君も来てよ」と言ってきた。
「はあ!?」と思いつつも、ここまできたんだからただでは帰れん、と自分でもよくわからない意地でついていくことに。
エリックの住まいは5DKのマンションの一室、いわゆる「シェアハウス」――。
いったいこれからどうなるんだ、そして私はどうしたいんだと、車内で悶々としながら向かったのでした。
(隔週火曜日・次回は6月19日更新)
<著者プロフィール>
音咲椿(おとさき・つばき)
男性向けグラビア誌編集長を経て、ポット出版社刊「女の子×女の子のためのエロチックブック・Carmilla」にてイラスト・漫画家デビュー。
単行本「イケメン外国人たちとベッドで異文化交流した結果。」(ぶんか社刊)好評発売・配信中。テレビ出演多数。