“妊娠順番制”は仕方ないのか? 保護者と保育士双方が語る、「人員不足」による保育園崩壊
保育園、幼稚園、小学校、おけいこ事の教室などでは、日々子どもの保護者と施設側の間でトラブルが発生している。ほんの些細なことでも、自分のこと以上に気になってしまうのが親心というものなのか。わが子のことを思ってとクレームを入れるママもいれば、モンペと呼ばれることを恐れて我慢するママも。そんなトラブル事例とママの葛藤をつづる。
少子化と叫ばれて久しい現代だが、幼児教育無償化への動きや、保育士不足で閉園に追い込まれた保育園など、“保育”をめぐるニュースを目にしない日はない。そんな中、保活が済んで一安心のママたちにとって、新たなトラブルが発生しだすのが5月の終わりから6月頃だという。昨年、新設したばかりの大型保育園に2歳児の娘を転園させた友理香さん(仮名)は、こう語る。
「新設園に転園したのは、来年あたりに2人目を計画していたから。家の近くだし、大型園なら下の子と一緒に通わせやすいし、娘もまだ2歳なので、元の園のお友達と離れても大丈夫そうだと思ったんです」
母親側にはメリットが多いと感じていた転園だが、元の園と比べると新しい園は、保育士の経験不足、人員不足からくるトラブルが頻発しているという。
「新設のため、保育士がかき集められた感じでした。どの保育士も、みんな初めての園なのでわからないことが多く、エプロンやタオルなどの持ち物の案内も保育士によって違い、後から買い足したりしなくてはならず、困り果てています」
さらに、友理香さんの娘が入園した後、立て続けに保育士が数名辞めてしまったという。そのため、もともとは2歳児クラスの担任だった保育士が、欠員の出た学年の担任をせざるを得なくなり、学年の途中で担任が変わる事態となった。
「2歳児クラスの先生は2人いて、そのうち1人がベテランだったのですが、別のクラスに異動。残った先生は、まだ2年目の若い女性で、何を聞いても頼りない。せっかく、子どもたちも先生や環境に慣れてきたのに、急な担任替えで“ここに預けていて大丈夫だろうか”と不安な気持ちになりました。中には登園のたびに泣き出す園児もいて、一時期、乳幼児クラスはパニック状態でしたね」
保育士が変わることで起こるトラブルも数多い。友理香さんの場合は、同じクラスに娘と似た名前の女児がいるという。娘を迎えに行った時に、保育士が何度か名前を言い間違えるのが気になって「『うちの子は〇〇ですよ、気を付けてください』とやんわりと言ったら、『みんなの前で叱られた』と、若い女性の先生が泣き出してしまったんです。まるでモンペ扱いされたみたいで気分が悪くなったのですが、すぐにその先生は、園長先生にたしなめられていました」。
まだ先生も慣れていないから……とは思いつつ、どうしても“自分の子は特別”と感じてしまう親は多いだろう。それが、保育士と保護者の間での行き違いを生む原因になっているのかもしれない。