犯人は、まさかの店長! 万引きGメンが大型スーパーで驚愕「高額商品を車に積み込んで……」
みなさん、こんにちは。万引きGメンの智美です。意外と知られていませんが、私たち保安員は万引きだけでなく、スリや置き引き、痴漢、盗撮、異物混入、器物損壊、内部不正など、あらゆる店内犯罪を摘発対象にしています。レジ不正に手を染めたり、自店商品を勝手に持ち去る従業員を内偵、検挙することもあれば、商品に対する異物混入事件などの警戒に当たることも珍しくありません。
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今までに一番衝撃を受けたのは、大型スーパーの店長自らが多数の高額商品を駐車場まで持ち出して、自分の車に積み込んでいるところを現認したことでした。内部不正が発覚した場合、何かの間違いがあると大事になるのですぐに捕まえることはせず、クライアントの担当者に一連の行動を報告して判断を仰ぎます。それから対象者の行動を把握するために内偵を入れて証拠を固め、対象者の上司など本部の方に立ち会ってもらう形で声をかけるのです。
ちなみに内部不正の摘発は、さまざまな事情から別契約となります。深夜に及ぶことが多く、長期にわたって複数人の派遣が必要なケースも多いので、通常料金より割高になってしまうのは言うまでもありません。
内偵初日。ベテランの先輩と現場に入った私は、駐車場が一望できる場所に身を潜めて、店長の車を見守ることになりました。ベテランの先輩は駐車場出口の近くでエレベーターの動きを監視し、立ち会い担当の常務さんは、店の近くに車を停めて私たちからの連絡を待っています。以前、私が目撃した時と同じように多数の商品を持ち出していたら部長に通報して、店長が商品を車に積み込むと同時に声をかけるという段取りです。
閉店のアナウンスが終わり、全ての照明が落とされると、まもなく事態は動きました。大量の商品を載せたカートを押した店長が、真っ暗な店内から駐車場に出てきて、躊躇することなく自分の車に商品を積み込み始めたのです。先輩が連絡を入れてまもなく、常務さんのクラウンが猛スピードで駐車場に入ってきて、店長の車に横付けされました。刑事ドラマさながらの光景にドキドキしながら、私も店長のそばに駆け寄ります。
「お疲れさん」
「ひっ! 部、部長……」
私たちが見守る中、部長さんに声をかけられた店長は、ひどく慌てた様子でトランクの扉を閉めました。でも、まだカートに残っている商品は、どうにも隠しきれません。否応なく事務所に連行された店長は、体を震わせながら犯行を認めると、机の下に潜り込んで泣き始めました。穴があったら入りたいというのは、まさにこのことだと、妙に感心してしまいました。