『イッテQ!』いとうあさこへの「オナラ強要」はコンプライアンス的にどう? 弁護士が解説
そもそもコンプライアンスは、日本において「法令遵守」いわれ、もう少し噛み砕くと、企業が、法律違反・社会的秩序やモラルから逸脱した行為を行わないと遵守することを指すが、山岸氏は、今回の『イッテQ』への批判について、「いとうあさこさんの一件に関しては、単純に『見ていると気持ち悪くなる』という視聴者目線のレベルの話であって、テレビ界におけるコンプライアンスなどという高尚な話ではありません」ときっぱり言う。
「確かに、最近は『セクハラ・パワハラは、これらを受けた人がどう思う・どう感じるかによって成立するかどうかが決まる』と言われているので、出演者本人が番組内の演出について、『パワハラだ、セクハラだ』と言うことができます。しかしその意味では、“外野”である視聴者が『テレビ界におけるコンプライアンス』などと騒ぎ立てても、何の意味もありません」
山岸氏は、「いとうあさこに対するパワハラ・セクハラ」を、視聴者があたかも「自分に対するパワハラ・セクハラ」と勘違いしていると指摘する。
「テレビの演出について、たとえ視聴者がどう思い、どう感じたとしても、『視聴者に対するパワハラ・セクハラ』は世の中にありません。したがって、視聴者が『これはパワハラ・セクハラじゃないのか!』などと憤慨したところで、コンプライアンスもへったくれもないわけです」
しかし、いとうへのゲップやオナラシーンが、ただ気持ち悪かったのでなく、「セクハラ・パワハラの構図に見えたことが不愉快だった」と感じる視聴者もいたようだ。いとうの心情は別として、このシーンが“法律違反・社会的秩序やモラルから逸脱した行為を行わない”という点からズレていると感じる人がいても頷けるが、一部視聴者の抱いたこうした“セクハラ・パワハラという構図”への違和感は「BPO(放送倫理・番組向上機構)の審議」に委ねられることになるという。コンプライアンスという言葉自体は世間に広く浸透しているものの、その詳細はまだまだ不透明な部分が多いのかもしれない。