相思相愛だったはずの夫との仲を義母に引き裂かれ、2人の息子を連れ去られた
――連れ去られたのにシングルマザーって、話がつながらないですが……。順を追って話してもらえますか?
茨城県西部の義実家から帰ってきてしばらくしたある日の深夜、義母から電話がかかってきたんです。「おじいちゃん(Hの祖父)が亡くなったから、お通夜に来なさい」って。どう答えていいいのか困っていると、「あんたは来なくてもいい。今すぐに、子どもたちだけでもこっちによこせ」って。「絶対行きません」と言って私、電話を切りました。
その後、しつこく何度も電話がかかってきましたが、出ませんでした。お葬式はおじいちゃんのことを思うと心苦しかったけど、結局出ませんでした。連れて行ったら最後、子どもたちと離ればなれになるかもしれないって思ってましたから。
――それから、どうなったんですか?
1週間後、義母たちが突然やってきました。私たち母子が住んでるマンションに。ほかにHや義兄夫婦も一緒という大所帯でした。それで来るや否や、部屋の入り口で、義母がひとりわめき始めたんです。「お前は統合失調症だ。子どもたちがかわいそうだから連れていく」って。ちなみに、統合失調症というのは根も葉もない大嘘です。「私は子どものことを愛してます!」って興奮して言い返しました。すると「そんなふうに怒るから、息子(H)だって家にいるのが嫌になったのよ」って、私が何か言うたびに、怒らせようとして揚げ足を取るんです。
――その間、義兄夫婦は何をしていたんですか?
私が義母とやり合ってる間に、子どもたちを連れ出していきました。義兄たちに息子2人は懐いていますから、全然警戒はしません。そのまま、ついていったんです。「やめてください。子どもたちを無理やり連れていくとか、本当にやめてください」って叫んで抵抗しようとしたんですけど、義母に突き飛ばされてしまって。その隙に、子どもたちは連れていかれました。
――Hさんは、どうしていたんですか?
外で私と義母が揉めている間に、家の中で、私の通帳やら銀行印やらマンションの権利書や現金、車の鍵といった大事なものを物色して、かばんの中にどんどんと詰め込んでいたようです。
――その後、有井さんは、どういう行動を取られたのですか?
翌日、警察へ相談に行きました。すると警察は、「まだ離婚していないんだから、盗難ではありません。一切何の犯罪でもありません」って言うんです。そんな警察の対応を夫側は百も承知の上の犯行だったんです。ひどいでしょ。しかも、私が警察に行っているその日のうちに、子どもたちの住所変更などの手続きを済ませてしまったんです。車もいつの間にか持っていかれて、気がついたときには、すでに名義変更されていました。
用意周到な義母たちの仕打ちによって、有井さんは大事なものすべてを失ってしまった。その最たるものが、2人の息子たちであった。