初体験はインド人、親に内緒で中国人と入籍……刺激を求める「ADHD女子」の恋愛遍歴とは?
最近、よく目にするようになった「大人の発達障害」と、それに伴う「生きづらさ」。しかし、「生きづらさ」と一口に表されても、具体的にどのような悩みを抱えているのかよくわからない、という人も多いのではないだろうか? 自身の恋愛経験を通して“発達障害の生きづらさ”を漫画として描いているのが、ざくざくろさんだ(以下、ざくろさん)。2月には、インスタグラムやブログにアップされた漫画に描き下ろしを加えた単行本『ウチにはクズがちょうどいい ADHD女子の恋愛変歴』(宝島社)が発売され、話題になっている。自身もADHD(注意欠陥/多動性障害)であるざくろさんに、過去の恋愛や発達障害ならではの苦悩、漫画を描く理由について聞いた。
■外からの刺激を受けたときだけ、脳のモヤが晴れる
漫画『ウチにはクズがちょうどいい』は、ざくろさんの幼少期のエピソードやその後の恋愛譚を中心に描かれる、100%実話のコミックエッセイ。タイトルにもある通り、その恋愛遍歴はかなり“変”で破天荒だ。
たとえば、バイト先のインドカレー店のコック・アンスール氏(30)と壮絶な初体験を済ませ、彼との交際中に中国に語学留学。その後、留学先で出会った中国人、通称「メガネ」と親に黙って入籍をするも、メガネの激しい束縛とDVに耐える結婚生活を送ることになるなど、かなりハードな恋愛遍歴が描かれている。
実は、ざくろさんが恋愛でいばらの道を選んでしまうのは、ざくろさん自身の発達障害による部分が大きいという。
「ADHDの人は、刺激が足りないと覚醒しにくく、眠くなったりすることがあります。私の場合は、刺激がないと脳に“モヤ”がかかったような感覚になり、刺激を受けたときだけ、そのモヤが晴れて脳がスッキリするんです」
ざくろさんは30歳のときに「ADHDと軽度のアスペルガー(現・自閉症スペクトラム)」という診断を受けており、ADHDの人はざくろさんのいう“スッキリ状態”になろうとして日常に刺激を求める傾向があるそうだ。刺激として作用するものは人それぞれで、覚醒するためにアルコールやドラッグに依存してしまう人も多いという。ちなみに「ADHD」には、集中力が続かない、忘れっぽいなどの「不注意」や、落ち着きがない「多動性」、思いついたままに行動をする「衝動性」といった症状があるそう。もう一方の「自閉症スペクトラム」は、集団行動が苦手だったり、人とのコミュニケーションを取るのが難しいなどの特徴があるという。
「ドーパミンやノルアドレナリンなど神経伝達物質の働きが異常なため、刺激を求めてしまうようです。また、私の場合は外国に行っていろいろな刺激を受けたときも、脳のモヤが晴れました。ただ、恋愛で刺激を求めると『ああ、こんなことになってしまった。どうしよう』という状態になり、最終的にはすごく疲れてしまうんです。その都度『もう疲れた、普通に生きたい』と思うのに、平穏なときを過ごしていると、またウズウズしてきて『刺激が欲しい、舞台に上がりたい!』って思っちゃうんです」
穏やかな日々に物足りなさを感じ、ついハードな道を選んでしまうというざくろさん。ただ、彼女が“発達障害の生きづらさ”を感じるタイミングもまた、恋愛でトラブルが起きたときだったそう。
「認知症かと思うほど忘れっぽいことや、感情をコントロールできないことなど、全部死ぬほど厄介な症状でした。でも、やっぱり一番ツラかったのは、“苦労する”とわかっているパートナーをあえて選んだり、気がついたら親に内緒で中国人と結婚していたりと、自分の人生を自分で壊しにいってしまうことでした」