アラサー女性は生命保険に入ってはいけない!? 「保険は幻想」と専門家が忠告のワケ
独身でも既婚でも、アラサーに近づくにつれて、なんとなく気になり始めるのが「生命保険」。がんになったら100万円の一時金、死亡したら遺族に500万円の保険金、満期を迎えたら払込料よりも多いお金が戻ってくる……など、一人ひとりの目的に合わせて保障内容をカスタマイズできるのが今の保険の主流となっている。
あなたの身の回りにも、「老後資金を蓄えるために個人年金に入った」「女性疾病が手厚い医療保険に入った」「お金が増えやすい外貨建ての積立保険に入った」などと言い始める人がいないだろうか。「もしかして、保険について何も考えていないのは私だけ!?」そんな焦りを感じているかもしれないが、「生命保険は、“お金を用意する手段”として考えた場合、損をしやすい仕組みになっています。お金に関する知識のない人が、うかつに保険に入るのはオススメしません」と言うのは、『「保険のプロ」が生命保険に入らない もっともな理由』(青春出版社)の著者である保険コンサルタントの後田亨氏。なぜ、うかつに保険に入ってはいけないのか。その理由を後田氏に聞いた。
■1万円の保険料のうち、3000円超が手数料として保険会社に
後田氏によると、万が一のため、もしものときのお守りというイメージが強い生命保険だが、そうした前提が人々の判断力を鈍らせる。困ったときに役に立つものというイメージを植え付けられるほど、手数料などのコストや確率論を不問にしがちになるのだという。
「保険専用ATMを想像してみてください。保険料から保険会社が手数料を引いた残りのお金が、いざという時に支払われるわけです。手数料がいくらかわからなかったら、使いたくないですよね?」
たとえば、日本人の2人に1人はがんになるというキャッチコピーがあるが、がん情報サービスのデータでは、30歳から40歳までに罹患する確率は1%、向こう10年間で10%を超えるのは61歳以降だ。保険会社による調査などでは、がんの治療等に必要なお金は50万円程度であることが多い。確率論で考えると貯蓄での対応が基本で、手数料がわからない生命保険に頼るのは疑問だ。
「複数の専門家によると、売れ筋の『医療保険』で、1万円の保険料を払った場合、3000円超の手数料が引かれるイメージです。ほとんど暴利だと感じます。貯蓄性が語られる保険でも手数料が高いので、10年超、元本割れが続くことが珍しくありません。お金の心配をしている人が、金融機関や代理店の取り分が大きく、お金が減りやすい仕組みに頼るのは、ヘンですよね?」
この説明をしても、多くの人は、にわかには納得しないという。いざというときの安心料と思えば、手数料が多少高くても仕方ない。貯蓄代わりに入る保険も、頑張って満期まで加入し続ければいいだけの話と、自分を納得させる人が圧倒的に多いそうだ。後田氏はこれを「お金の使い道に縛られている」と言う。
「入院時のお金、老後のお金など、お金の使い道によって最適な保険があるというのは幻想です。入院費は自腹が合理的だし、満期時のお金の増え方より、契約当初のお金の減り方が、断然、重要です。満期が来るまでに増税が行われたりすると、少々お金が増えても仕方がないからです。元本割れが続く手段が、有利なはずがないと、常識で考えましょう」