カルチャー
『リアル風俗嬢日記』著者インタビュー・後編

盗撮、GPS、Twitterのアカウント暴露……SNS全盛の今、風俗嬢が「怖いこと」とは?

2018/05/13 19:00

 近年よく、性風俗業に従事する女性とセットで語られる“誇り”。仕事に対する“誇り”を、ほかの仕事よりも声高に論じがちな業界ではないだろうか。対照的に、「後ろめたさを持たねばならない」という圧力も受けがちだ。しかし、Ω子さんの作風からは、そのどちらも感じられない。こんな描写が象徴的だ。

「風俗嬢だって働く立派な女性であってうんたらかんたら」と高説するお客様に、シコシコと手コキをしながら心ない笑顔で、「うんありがと」とドライに対応する。一方で、下ネタを苦手とする女友達の前では、「ヘルスで働いているなんて死んでも言えない」と固まり、「性の多様化などで風俗も昔よりは偏見が減っているとのことですが やはり友人 親族に言えるような仕事ではありませんからね」と客観的に分析する。

Ω “誇り”を持って風俗をされてる方もいると思いますが、私個人はドライです。それに、「親や友人に言えないような仕事をしている」という自覚はありつつも、別に卑下することもありません。そのあたりもドライですね。だって、差別したり何か言ってくる人がいたとしても、その人は私のすべてを知っているわけじゃないし、私は私で「こう思っているよ」と伝えているだけで、あまり気にしていません。

――「人に言えない」ということで、Ω子さんの職業を知っている友人は、作中に登場する男友達くらいでしょうか。

Ω あとは元・同業者の子と、彼女の友人で偏見がないとわかっている子ら、何人かですね。

――「偏見がない」のはどのようにわかったんですか?

Ω 元同業者の子が、「あの子なら気にしないから大丈夫だよ」と言っていたんです。なので伝えてみると、「あ、そうなんですか」とあっさりしていましたね。

――これだけ有名になると、自ら言わずとも友人に“身バレ”しそうです。

Ω そうですね。絶対にバレるだろうなと思い、連載前、昔から漫画をアップしていたTwitterアカウントを削除しました。でも、それだけじゃ、親しい友人には効きませんでしたね。あるとき、私のプライベートアカウントでつながっている子が、『リアル〜』の単行本の画像を「今日買ったよ」というコメントつきでアップしていたんです。「えっ……!?」と、びっくりしてしまって。その後ひさしぶりに会う機会があったら、「あの漫画、Ω子ちゃんだよね。すごく面白かったよ!」とだけ言われました。それ以上、掘り下げて聞いてくることもなく、それっきりです。今も変わらず仲良くしてくれる、大人な友達に感謝ですね。

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