勤務中にラブホへ行ったバツイチヤンママ保安員! 「変わった人が多い」万引きGメンの素顔
このような色仕掛けは別ですが、私たち保安員にとってクライアントからご指名をいただくことは、1つの目標であり栄誉なことです。些少(1回1,000円くらい)ながら指名料も入るので、全ての勤務日を指名で埋めることを目標にしている人もいました。求められて現場に入る分、居心地がよく、余計なストレスを感じることなく仕事に集中できるメリットもあります。クライアントからの指名をいただくには、店長やマネジャーとの人間関係も良好に保たなければなりません。かといって、出退勤時の挨拶以外で接触するには、万引き犯を摘発するほかないので、行くたびに結果を出すことが重要となります。まずは検挙実績を積みあげていくことが基本ですが、高額品狙いの被疑者や店舗で有名な常習者、窃盗団などの検挙はインパクトが大きく、1回の検挙で指名を得られることも多いです。
同系列の店舗で、特定の女性従業員に対する露出狂や書店における盗撮常習者、さらにはスーパーの駐車場における車上狙いの犯人まで捕まえたことがある先輩は、これらの捕捉をきっかけに盤石の信頼を勝ち取り、長きに渡り多くの指名を受け続けてきました。この先輩は「迷彩服が一番目立たない」と服装にもこだわりを持っている人なのですが、店の人たちから「軍人さん」とあだ名され、親しまれています。日々の捕捉で信頼を得て、お店の人に可愛がられながら、時には大物を挙げる。それが指名を得るコツなのかもしれません。
指名の多い保安員は、自ずと現場が固定されるため、お店の人はもちろん、警察官との関係も深くなります。とある署の警察官から「ボス」というあだ名で呼ばれる凄腕の先輩は、実況見分や調書作成など逮捕手続きの経験が豊富なので、現場で戸惑う新人警察官の指導まで依頼されていました。警察が忙しく人の足りない時は、率先して実況見分を手伝います。なるべく早めに処理を済ませることが目的ですが、若い新人の警察官と2人でメジャーを持ち、現場で距離を測る姿を見る限りベテランの刑事にしか見えません。マル暴の刑事や被疑者に間違えられることも多いというので、彼の正体を勘違いしたままの警察官やスーパーのお客さんもたくさん存在していると思います。
この先輩は、いかに早く警察署に行くかということを日々のテーマに掲げているそうで、その理由を尋ねると「警察署に行けば、歩かないで済むし、昼寝もできるから」と答えました。警察署のロビーや取調室で堂々と爆睡できる人は、多分この人くらいではないでしょうか。本物のプロといえる保安員は、どこか職人気質で、ちょっと変わった人が多いのです。