「GINGER」怒涛の300足越え靴特集!! 「LDK」化する誌面に見るアラサー読者の自意識
「GINGER」5月号(幻冬舎)の特集テーマは「ゆずれない、『靴』だけは!」ということで、昨年10月号以来の「靴」特集です。反響が大きかったのでしょうか。前回は「運命の一足」と出逢うというテーマの元、“雰囲気オシャレコピー”で読者を煽りながら、クリスチャンルブタンを紹介しまくるという謎の誌面を展開し、「GINGER」の極端思考が悪い方向で発揮されていました。今回は「新しい一足」と出逢うために、なんと300足越え(途中、数えるのを諦めました)の靴を掲載! さすがにこれだけあれば「GINGER」の言う通り「人生の最高のパートナー」(=靴)を見つけられるかも!? 早速中身をチェックしていきましょう~!
<トピックス>
◎K.O.K[キング・オブ・神パンプス]はどれだ!?
◎GINGER Golf Team Journal
◎エディターNinaの取材メモ
読者への忖度がうまくなった「GINGER」
冒頭でも述べた通り、5月号の「GINGER」は靴特集。著名スタイリストらが自身の靴への愛を語る「スタイリストたちの『春靴名品』」、今年のトレンドを紹介する「毎日履きたい! 派手可愛パンプス」、歌同様のしつこい語りに圧を感じる「JUJUが傾けるハイヒールへの情熱」、124足を誌面いっぱいに並べて通販カタログかと見間違うような「ZARAの春靴が欲しい!!」、ウォーキング法や足のお手入れ方法を指南する「“終日ヒール女子”の美脚宣言!」、そして用語辞典「靴にまつわる基礎用語2018」に、靴モチーフのアクセサリーや雑貨を紹介する「履けない靴も愛してる!」……と、靴! 靴!! 靴!!! のオンパレード。
その中で今回筆者が気になったのは「GINGER」の恒例企画、「K.O.K[キング・オブ・神パンプス]はどれだ!?」です。これまでは読者審査員の声を元にランキングが発表されていましたが、今回からは審査方法を一新。靴職人・デザイナー、スタイリスト、そして靴修理でおなじみ「MISTER MINIT」の社員ら、靴のプロも審査員に加わり、「機能性」「デザイン」「素材・品質」「コスパ」「安定感」「クッション性」等の評価項目を点数化。もちろん「忖度NG」でスコアを開示します。また、ファッション雑誌ではなかなか見かけないような、かかと部分や靴底、中敷きの部分写真を掲載し、多角的に靴の構造を分析する徹底ぶり。ここまでやるのか「GINGER」! まるで徹底取材とテストでおなじみの女性誌「LDK」(晋遊舎)のようです!
そして今回、堂々の第1位に輝いたのはオーソドックスな黒革パンプスが代名詞の「銀座かねまつ」。審査員たちも「華美なデザインに頼らない“作り”で勝負した一足」「革底、アッパーの質感に並々ならぬ上品さとこだわりを感じました」と大絶賛していました。バリバリのキャリア志向というわけではないものの、事務職OLタイプより、大手企業の総合職やマスコミ勤務など首都圏で働くアラサー女性を対象としている「GINGER」。ファッションにも安っぽすぎず、モードすぎず、流行も取り入れつつその他大勢と一緒は嫌! という絶妙なこだわりを常に感じます。そんな彼女たちの、ほんのちょっとだけ上等志向なプライドをくすぐりつつも、堅実なコスパ路線も両立できる今回のイイトコどり企画に、「うーん『GINGER』、読者への忖度がうまくなったわね……」と唸らずにはいられませんでした。