“ジャニヲタリカちゃん”なぜ生まれた? 制作者が語る、「ジャニファン」の特異性
リカちゃん人形にジャニヲタ(ジャニーズオタク)の格好をさせているTwitterアカウントをご存じだろうか? ジャニーズファンならば、一度は見たことがあるような場面を切り取り、「ジャニヲタリカちゃん」として再現。その完成度の高さは、ジャニーズファンのみならず、ネットユーザーからも称賛されている。今回は、ご自身もジャニーズ好きというジャニヲタリカちゃんの生みの親・みづきさんに、制作裏話を聞いた。
――まずは、みづきさんのジャニーズファン歴についてうかがいたいと思います。いつ頃から、何がきっかけで好きになったんですか?
みづきさん(以下、みづき) 私、ファン歴はスゴく短くて、まだ3~4年ぐらいです。今年30歳になるんですが、初めてジャニーズのステージを見たのが25歳で、ファンになったのは26歳の時でした。きっかけは、帝国劇場で見た『JOHNNYS’ World -ジャニーズ・ワールド-』(以下、『ジャニワ』)で、エンターテイメントの“圧”を受けたことですかね。2012年の初演を観劇する機会があったんですが、その時は“大人の社会科見学”みたいな感じで。「ジャニーズ見たことないから行こう」ぐらいの気持ちだったんです。当時は、Hey!Say!JUMPだと山田涼介くんしか知らないような状態でした。
――『ジャニワ』を見て誰かにハマったんですか?
みづき その時から、今も一番好きなのは、A.B.C-Zの河合郁人くんです。一緒に舞台を見に行ったのは、同い年のSexy Zoneファンの女の子だったんで、いろいろ事細かにレクチャーを受けました。
――その前まで、特定のアイドルを好きになったりは?
みづき ジャニーズは、中高生の時を含めて全然興味がありませんでした。社会人になってから、AKB48、ももいろクローバーZといった女性アイドルを好きになったんですけど。『ジャニワ』で直に洗練を受けました。「何なんだろう、この世界は!」みたいな。とりあえずストーリーの意味はわからないけど……って。戸惑いが先に来ました(笑)。その『ジャニワ』を機に河合くんを好きになって、徐々にいろんなタレントさんを覚えていったんです。
――舞台からジャニーズの世界に惹き込まれたとなると、A.B.C-Zをはじめとする“舞台班”が好きなんですか?
みづき 舞台班も好きですし、コンサートよりも落ち着いて見れる舞台の方が、気持ち的にラクなんです。コンサートでの、10代の女の子の熱狂的な圧とかに、毎回びっくりしてしまうので。ジャニコンは「怖い」っていうイメージを持っているのかもしれません。トラウマがあるわけではないんですが、初めて行ったコンサートが、Sexy Zoneだったんです。そしたら、お客さんが10代ばっかりで。それと今まで、自分が参加していたAKB48やももクロのコンサートって、あまりうちわを持つ習慣がなかったので、ビックリしました。
――あぁ~、なるほど。言われてみれば、女性アイドルのコンサートでうちわを持つイメージってないですね。
みづき なおかつ、女の子に対しては、比較的に“健全な応援”を是とする雰囲気だったので。それが、ジャニヲタの場合は「スゴい性的な応援をするんだな」と、驚いて。
――性的な応援(笑)。「ジャニヲタリカちゃん」の中にも、「あせ(汗)かけて」と書いたうちわを持っている子がいましたよね。
みづき あれは、実際にあのうちわを目撃したんです。初参加したセクゾコンで、「ジャニヲタ恐ろしい……」って思ったぐらいに、スゴく印象強くて。「あせかけて」「今日のパンツ何色?」みたいなうちわを、ももクロのライブで持ってたら、出入り禁止だなって。衝撃を受けたので、ジャニヲタリカちゃんでもそのうちわを作りました(笑)。だから、『滝沢歌舞伎』でタッキー&翼の滝沢秀明がフライングしながら客席に汗をかける“滝汁”のファンサービスは、ちょっとビックリしました。
――ジャニヲタ歴が短いということもあって、ファンの言動を客観的に見られるんですね。
みづき 女子ドル文化からジャニーズに入っただけに、衝撃度は大きかったです。私がファンだったのは、ももクロとかメジャーなアイドルの子たちだったので、いわゆる“ガチ恋”している人が少ないんですよ。一方で、ジャニーズの場合はファンがこれだけ多い上に、「タレントに見られたい」という意識を持っている人がたくさんいる。昨年末の『カウコン』(『ジャニーズカウントダウンコンサート』)で、ジャニーズWESTファンの子が隣にいたんですけど、ずっと「見て!」と叫んでいて。それだけ「見られたい」という欲があるのは驚きました。たまたま、そういう子が隣にいただけかもしれないですけど。
――そういう人は、ももクロの現場にはいないんですか?
みづき AKBを追いかけていた時も、いなくはなかったんですが……。握手会という確実なチャンスもありますし、わざわざコンサートでも最前列にいて、アイドルに“見てもらえるかどうか”を重要視するファンは、少ないのかもしれません。地下アイドルを含めた女子ドルのファンの間で、「推しに見られたいと思ったら厄介の始まり」という、有名な格言があるんです。ジャニーズファンは、メジャーデビューしている規模のアイドルに向かって、そんな性的な言葉を明確に投げかけるって、単純にスゴいなと。「自分の好きなタレントに好かれたい、見られたい、目立ちたい」みたいな。しかもその声援に応えてくれちゃうアイドルもいるので、良くも悪くも夢がありますよね(笑)。