山崎夕貴アナの結婚報道に感じた、“地方出身の普通の女性”がフジのエースとなったワケ
鈍いと言えば、フジテレビにはかつて中野美奈子というおニブの大御所がいた。中野もフジの女子アナらしくお嬢様育ちだが、中野の鈍さは「愛されると信じて疑わない」という方向性である。それに対し、山崎アナのそれは「どちらが上とか下とか考えない」といった種類のものなのではないだろうか。「東京は地方より上」とか「SNSのフォロワーが少ないのは下」というように、人には自分の属する世界に応じた暗黙のルールがあるが、山崎アナはそれを持たないのだろう(もしくは気づいていない)。
かつて山崎アナと鮨を食べに行った際に、かかってきた電話に断りもいれずに出たと、石橋貴明が『みなさんのおかげでした』で嘆いていたけれど、もし山崎アナが石橋のことを“上”の存在だと思っていたら、こんな行動は取らないのではないだろうか。山崎アナは、フリーアナウンサー・遠田智子のインタビューに対し、「私、世間の声があまり気にならないんですよね」と答えているが、人目や序列が気にならないタイプなのだろう。
「人間関係の上下がわからない」ことは、今のテレビ業界ではプラスではないか。大物に対して物怖じせずに向かっていけるし、大物からいじられたり、怒られても、当の本人がけろっとしているので、パワハラ臭がしない。つまり、「上下がわからない」とは、「バカにされ上手」と言い換えることができる。「バカにされ上手」は仕事にも恵まれ、かつ日常生活の最大の敵、“嫉妬”を交わすことができる超優秀な存在である。
山崎アナは4月から『とくダネ!』(同)に移籍する。同インタビューで山崎アナは、初代MCである佐々木恭子アナに「(恋愛を)これだけオープンにしていて、もし別れてしまったら、バツイチみたいなもんじゃないですか」と相談したところ、「『山崎は別れてもネタになるから』って言われて、楽になりました」と語り、先輩に感謝している。先輩・後輩のいいエピソードに水を差してなんだが、これ、軽くバカにされていないだろうか。もし交際相手が大物芸能人だったら、別れた後、ネタにはできないはずである。売れているとは言い難い、女グセの悪い芸人だから別れても当然、嫉妬されない相手だから、みんなが味方してくれる……と言っているように、私には聞こえるのだ。
「損して得取れ」という諺があるが、ヘタなプライドを捨てて、あえてバカにされて多くの物を得る。山崎アナの戦術は、一般人の世界でも有効ではないだろうか。
仁科友里(にしな・ゆり)
1974年生まれ、フリーライター。2006年、自身のOL体験を元にしたエッセイ『もさ子の女たるもの』(宙出版)でデビュー。現在は、芸能人にまつわるコラムを週刊誌などで執筆中。気になるタレントは小島慶子。著書に『間違いだらけの婚活にサヨナラ!』(主婦と生活社)『確実にモテる 世界一シンプルなホメる技術』(アスペクト)。
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