妊娠中にエリート夫の浮気現場に遭遇! 警察の前で「DV妻」呼ばわりされ……
――そのときは、彼のことを信じてたんですか?
信じていました。彼が嘘をついてるなんて、当時は知る由もなかった。仕事柄、さまざまなタイプの患者と付き合いますので、人と接することには慣れています。だけど彼は両親が外国人で、「自分のアイデンティティはどこだ」という悩みを抱えていました。私はそれまで彼のような人とあまり接したことがなくて、日々一緒に暮らす中でも、彼の人間性を見抜けなかったんです。
――「嘘をついてる」とすると、DVというのは彼の被害妄想なんでしょうか?
自分自身の思い込みを本当のことだと、記憶をすり替えてしまうんでしょう。彼自身、私にすごく攻撃を受けたという感覚は本当でしょうから。
――どういうことですか?
例えば、トイレットペーパーが芯だけになって、そのままになってたときのこと。「切れたら自分で交換して」と言ったら顔色が変わったということがありました。あのとき、彼は、私のお願いに傷ついてしまったみたい。
――なぜそれで傷つくのか、理解できないです。
彼はエリート家系の育ちで、いわゆるお坊ちゃん。お手伝いさんがこまごまとした世話は完璧にやってくれるけど、しつけはしない。だから、世の中の常識がわからないまま大人になったんです。
――大学に入ってからは、ずっと1人暮らしだったんですよね。
いえ。彼のそばには、常に女がいたんです。大学生や大学院生のときだって、1人暮らししているとはいっても、付き合ってる女性にすべての家事をやってもらってたし、その後もずっとそうです。彼は典型的なハンサム男ですから、女が途切れなかった。誰かにやってもらってたから、生活をするための常識が身につかなかった。だからこそ、私に注意されただけで傷ついたんです。
――わからないんだったら、聞けばいいだけなのに。
アメリカの教育を受けて、リベラルを自負してるんです。だから上っ面では進歩的。だけど根の部分では「白人の自分は、黄色人種の妻より偉い」って思い込んでて、自然と私を見下してた。刃向かいはしないけど、いちいち偉そうでした。例えば、ケンカしたときに「俺は台所の床も拭いたし、トイレットペーパーも替えたぞ。なのに何が不満なんだ」って、わざわざ勝ち誇るように言うんです。「自分の家なんだから、やって当然でしょ」って言い返したら、「うーん」とか言って頭を抱えてました。プライドは高いけど、打たれ弱い人なんです。